3.11後福島を照らすもの 記事一覧
3.11後福島を照らすもの
東日本大震災から1年8カ月。被災地の復旧・復興はまだ緒に就いたばかり。特に原発事故の直撃を受けた福島県内はなお多くの人が避難生活を余儀なくされ、先行きは描き出せないままです。3.11後の福島。月1回の間隔で、その苦悩と選択を紹介します。
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〝ルビコン川〟の畔で 3.11後福島を照らすもの 16 原発立地自治体の現実 地域が変わり心が変わる
「もうペンを握る握力もなくてね…なんとかパソコンだけは打てるけども…」 今年77歳になるフリージャーナリストの柴野徹夫さんは、メモを取る筆者の前で淡々と語った。10年前、突然転ぶようになった。訪ねた医師(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後福島を照らすもの 15 原発再稼働の前に問うべきこと 現実とかけ離れた避難訓練
都知事選では原発推進か脱原発かが大きな争点となった。国内最大の電力消費自治体であり、東京電力の株主である東京都が原発をどう扱うかは、単純にクリーンで安価なエネルギーを選択するかどうかの問題である。(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後福島を照らすもの 14 世界の常識 核シェルターという安全を選択
自民党政権はここにきて原発ゼロ方針を見直し、「安全が確認されたものから順次再稼働させる」意向だ。いわく、ベントフィルターがついているか、動く可能性のある活断層があるか、避難計画は立てられているか等々(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後福島を照らすもの 13 訴え続ける元町長 町民の命、健康を守るために
福島市で震災以後初の市長選が行われた。自民、公明、社民の3党が推す現職の瀬戸孝則氏が破れ、無所属新人で元環境省職員の小林香氏が瀬戸氏の3万2851票の倍以上、7万2441票を獲得して当選した。 これで福島県内(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後福島を照らすもの 12 本格化する健康被害 起きている事実を直視しよう
大型の台風が立て続けに日本列島を襲っている。東京都大島町では痛ましい被害が出た。土砂で覆われた町の姿に2年7カ月前を重ね合わせたのは、筆者だけではあるまい。 報道によると、都や気象庁が出した「土砂災(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後福島を照らすもの11 その時、福島第2はどうだったのか とっさの判断、あと30秒遅かったら
11年3月11日、午後2時過ぎ。東京電力の社員、立川洋行さん(仮名)は、福島第1原発から10キロ南にある福島第2原発の構内で打ち合わせをしていた。 午後2時46分。地鳴りのような衝撃が起こったかと思うと、打ち合わ(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後福島を照らすもの 10 2年以上放置された汚染水問題 緊急対策も効果は不明
東京電力福島第一原発からの汚染水漏れが話題となっている。8月7日、国の原子力災害対策本部は、1日約300トンの汚染された地下水が海に漏れ出している可能性があると発表した。 地下を通る水脈がいずれ汚染さ(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後福島を照らすもの 9 原発作業員の告白 多重下請け構造の中で
高収入を目指して 「今は寝るところもちゃんとある。食事もご飯だけではなくて、おかずも付いている。食事代も引かれていない。土日は食事は出ませんが、前の所よりは非常に幸せです」 「幸せだ」と繰り返す50代(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後福島を照らすもの 8 野生動物の縄張り下にある街 その土地に人は住めるのか
動物が発する警告 先日、友人の紹介で映画の完成上映会に出掛けた。タイトルは『福島、生きものの記録』。原発事故で避難を余儀なくされた福島県浜通りの自治体に取り残された家畜やペット、野生動物などの様子を(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後福島を照らすもの 7 国替えを模索する相馬藩 34代当主が〝集団移住〟の勧め
進まない集団移転手続き 津波で実家が消失してから2年2カ月。福島県南相馬市の沿岸部の行政区では集団移転の手続きが進められている。だが、なかなか進まない。背景には、煩雑な行政手続きが十重二十重に立ちはだ(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後 福島を照らすもの 6 「保留分」の恩恵 本来のシステムはどこに
2人の女性が席に着くと、カウンターに向かって注文する。「コーヒー5杯。3つは〝保留〟で」。別の紳士3人組は、コーヒーを7杯オーダーした後「4杯を保留」にした。イタリアのカフェでは、近年こんな注文スタイルが(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後 福島を照らすもの 5 何が風化していくのか 「仮の人生」が覆ってしまう
あの日から2年 あの日から2度めの3月11日を迎える。この稿が出る頃には、おそらく様々なメディアが様々なテーマと切り口で震災と震災後を取り上げたはずだ。そこに上ってくる共通のテーマは「震災の風化」「復興の(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後福島を照らすもの 4 ソーラーパネルも原発も… 参入事業者に違和感あり
各地でメガソーラー 原発事故を機に各地で自然エネルギーを利用した発電システムの導入が続いている。代表的な電源が太陽光発電だ。各地でメガソーラーの設置が相次いでいる。 例えば、岡山県では沿岸部の塩田跡(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後福島を照らすもの 3 原発労働者に寄り添うこと
悪化する雇用環境 昨年11月9日、原発労働者の待遇改善を求めた全国初の組織「被ばく労働を考えるネットワーク」が東京都内で発足、その記者会見があった。きっかけは、福島第一原子力発電所で作業に従事してい(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後福島を照らすもの 2 除染に光明はあるのか 見通しの立たない時間と莫大な費用 集団移転など現実的検討を
放出続く放射性物質 昨年12月末、野田佳彦首相は、福島第一原発事故の収束宣言を出した。しかしこれを納得しない福島県議会は全会一致で「宣言撤回」を求める意見書を採択した。これを受けて野田政権は、収(続く) -
〝ルビコン川〟の畔で 3.11後福島を照らすもの 1 「仮の町」構想で見えること ふくしまフォーラムでの住民の声 政治や行政への不満噴出
震災が炙り出したもの 東日本大震災――。 それは巨大災害がこの国を襲ったということだけでなく、この国の様々なものを炙(あぶ)り出し、いまなお炙り出し続けている。 震災直後の鮮やかな支援や(続く)