主要住宅各社の9月度受注が出そろった(表参照)。前年同月は展示場の集客回復、オンライン営業の定着など相談が活発化し、前年超えのハードルは総じて高く、苦戦も目立つ。3月期決算のメーカー(大和ハウス工業、旭化成ホームズ、ミサワホーム、三井ホーム、パナソニックホームズ、積水化学工業)は4月~9月の上期の累計比が計上された。戸建て・集合関係はおおむねプラスとなる。
9月度の受注の特徴的な点を見ると、積水ハウスの「戸建住宅」は前年同月(単月)比6%増。大空間リビングや換気、空気清浄、プランニングが一体となった次世代室内環境システムの提案が好調だ。「賃貸住宅(RC造除く)」は3、4階建ての受注が好調で同11%増となった。また、苦戦を強いられてきた非住宅物件にも回復の兆しが見られるという。
大和ハウス工業は前年9月の「分譲住宅」が好調で、戸建て住宅部門における前年超えのハードルは高かった。「戸建住宅」は同4%減で、展示場来場者の減少が響いた。前年4月、5月が落ち込み、総じて前年上期(4月~9月)超えのハードルは低く、累計は前年同期比16%増となる。
住友林業の「戸建注文住宅」は前年同月の水準が高く、同7%減。コロナ以前の19年同月(単月)比では30%増。ZEH比率の高さが7月以降続いており、9月度の1棟当たりの単価も高水準だった。
旭化成ホームズの「請負住宅」は同12%増。戸建ては横ばい。集合住宅は大型物件が堅調で「請負住宅」の受注を押し上げた。上期は40%増。コロナ禍がなかった一昨年度と同水準だった。
ミサワホームの「注文住宅」は同9%減。前年8月前半から9月は商談が活発化しており、前年超えのハードルが高かった。19年9月(単月)比では8%増となる。上期の「注文住宅」は前年同期比13%増、一昨年度と比べてもプラス。一方、「賃貸住宅」は同35%増。棟数、受注面積・金額が前年同月よりもよく、地方でも大型物件の受注が好調だった。
三井ホームの「専用住宅(戸建て)」は同14%減。展示場来場者の減少が響き、一次取得者への土地の手当てにも課題を残した。上期は前年同期比22%増となる。
パナソニックホームズの「戸建住宅」は同3%増。3階以上の多層階は横ばい、1、2階の低層が前年超え。上期累計は前年同期比24%増となる。
棟数ベースで公表している積水化学工業の「住宅受注」は同3%減。戸建てと集合住宅のいずれもマイナスだった。上期の累計は前年同期比11%増。建売住宅、エネルギー自給自足型のスマートハウスに加え、平屋も好調だったという。
ローン減税の影響懸念
注文住宅の住宅ローン減税(控除期間13年間、入居期限22年12月末)の契約期限が9月末で終了したことは今後の懸念材料の一つだ。10月度以降の受注への影響が注目される。その一方、新型コロナの感染者数・重症者数の急減は好材料だ。このままコロナ禍が終息に向かうかどうかは予測できないが、住宅展示場の集客施策、営業の活発化など好影響が期待される。