マンション・開発・経営

2021グッドデザイン賞 グッドデザインで変わる住まい③ タカラレーベン 「レーベン検見川浜GRANVARDI」多様な価値観を満たす工夫

駅を港に、マンションを大型客船に見立ててデザインされた「レーベン検見川浜GRANVARDI」。外観デザインに加え、コミュニティ醸成などソフト面の工夫も評価されて受賞した。同物件の詳細について、同社取締役兼執行役員の高荒美香氏に聞いた。

 

──開発のポイントは。
「駅徒歩2分という好立地であり、線路沿いの細長い敷地。まずは駅を港に例え、建物のファサードを一つの大型客船に見立て、豪華客船で船旅をしているようなマンションにしたいと考えた。また利便性と規模から、シングルからファミリー、シニアまで多世代のニーズに応えられるよう、専有部は約41〜104㎡と多彩なバリエーションを用意。建物が線路に沿って長いので、駅に近い部屋は利便性を重視するシングルやファミリー、奥の静かな部屋はシニア向けとするなど、当初の想定通り多様な世代に評価された」

──共用部に工夫があるそうだが、具体的には。
「多世代が旅(=暮らし)を楽しめる客船(=マンション)とするための仕組みづくりとして、ミクストユース型の共用施設を提案。各々の規模は大きくないが、多様な用途が見込まれる空間を10種類用意し、例えばシニア世代が子供に将棋を教えるなど、多世代が交流できる場となっていると思う。更に、19年に同賞を受賞した〝可変設計マンション共用部〟の仕組みも実装した。これは、住民の成長による共用部へのニーズの変化にも対応している。派手ではないがちょうどよいスケールで、丁寧な共用部への取り組みがグッドデザインとして評価されたと考える」

──今後の商品開発においてデザインをどう捉えるか。
「従来のマンションは〝みんなのデザイン〟だったが、これからは一人ひとりのためのデザインも考えていく必要がある。多様な価値観に対応する〝パーソナルハッピー〟を目指したい。マンションという枠組みの中、どう工夫していくかは今後の課題」

──マンションづくりに対するこだわりは。
「コロナの影響もあり、今後は全世代が同じスタートラインに立って考える、よりリアルな日常の〝毎日価値〟が注目される。消費者から学び、自身も消費者の一員として住宅の価値のあり方や〝毎日価値〟を発見し、その向上に役立つ仕事を続けたい」


■レーベン検見川浜GRANVARDI/JR京葉線検見川浜駅徒歩2分。敷地面積は約6600㎡、地上10階建て、総戸数288戸の大規模プロジェクト。21年2月に竣工し、現在は完売している。