年金不安・相続税改正に対応 資産として再発見! マイホーム活用術

資産として再発見! マイホーム活用術(4) Q3.マイホームに住み続けた場合の税務リスク

・固定資産税などの税金は今後だんだん高くなる可能性がある
・同居していない子への相続では、相続税が高くなることも

マイホームに住み続ける場合には、その維持費やセキュリティの工夫が必要です。固定資産税や都市計画税を払い続けるための資金も必要です(⇒ Q1参照)。病気などの有事の際の備えも必要です。

相応の収入があれば、こうした負担を問題とすることなく、マイホームでの暮らしを豊かに快適に送れるでしょう。

ところが、収入が少ないとこうした負担が問題になってきます。税金面で心配なのが固定資産税・都市計画税です。

固定資産税等の問題

マイホームの敷地と建物には固定資産税がかかります。一定の都市化した地域では、都市計画税も課税されます。

固定資産税では、マイホームの敷地については、「住宅用地」の課税対象額を軽減する住宅用地の特例が適用されます。課税標準額が以下のように軽減される結果、税額も軽減されます。

住宅用地の特例の軽減割合
区分 固定資産税 都市計画税
小規模 住宅一戸あたり 200㎡まで 6分の1 3分の1
一般 住宅一戸あたり 200㎡超、家屋の床面積の10倍まで 3分の1 3分の2

ただ、今後こうした住宅用地の特例について見直しが行われる可能性があります。平成24年度の税制改正論議では、総務省案として住宅用地の特例の軽減割合を6分の1から4分の1に引上げる案が示されていました。今後、固定資産税等の改正動向に注意が必要です。

相続税の問題

被相続人がお住まいの住宅を配偶者や、同居している子供が相続すると、その敷地は特定居住用宅地として小規模宅地の評価減の特例が適用できます。この特例は、特定居住用宅地の相続税の課税対象額を8割引きの2割にするというものです。

ただ、独立して住宅を持っている子で、同居していない子が相続すると、小規模宅地の評価減の特例が適用できなくなる結果、課税対象額が2割にならず、評価額そのままで課税されることになります。

税理士 本郷 尚 (ほんごう たかし) http://www.tactnet.com/

税理士法人タクトコンサルティング 代表社員
株式会社タクトコンサルティング  会長

昭和48年 税理士登録
昭和50年 本郷会計事務所開業
昭和58年 株式会社タクトコンサルティング設立
平成15年 税理士法人タクトコンサルティング設立
平成24年  株式会社タクトコンサルティング 代表取締役を退任し、会長に就任

不動産活用・相続・贈与・譲渡など資産税に特化したコンサルティングを展開。
資産税を軸足とした税理士として、執筆、講演に注力。


【主な著書】
「継ぐ」より「分ける」相続―45歳を過ぎたら“相続適齢期”(タクトコンサルティング)
心をつかめ!コンサルタント(住宅新報社)
ほんもののコンサルタントになる本―プロは勝ちより価値にこだわる (能力開発シリーズ)(住宅新報社)
がんばれ大家さん!(タクトコンサルティング)
生前相続―発想を変えれば人生が変わる(文芸社)
女の相続―Six stories(文芸社)
改訂とっておきの相続(タクトコンサルティング)
不動産M&A入門 (図解不動産業)(住宅新報社)