不動産の資格

宅地建物取引士とは?

 

不動産取引のプロ、宅地建物取引士!

宅建取引士のイメージ

取引物件や取引条件に関してわかりやすく伝え、取引のサポートをします

不動産を「売りたい!買いたい!」「貸したい!借りたい!」そんな時に頼りになるのが「不動産業者」です。
そして「宅地建物取引士資格」は「顧客」と「不動産業者」の橋渡し役を担う重要な資格です。

具体的には取引物件や取引条件に関して「所有者は誰か?」「電気、ガス、水道の整備状況はどうなっているのか?」「手付金、敷金の条件」などの情報をわかりやすく伝え、取引の当事者全員に納得して契約を結んでもらうことをサポートするのがメインの業務となります。(これを重要事項の説明業務といいます

宅地建物取引士の業務

取引士にしかできないこと

実際に一つの契約がまとまるまで、業者と顧客の間ではさまざまなやりとりが行われます。そしてそのなかには宅地建物取引士にしか任せることのできない業務というものがあります。
その話に入る前に、不動産取引の典型的な流れをご説明しておきたいと思います。

①家を売りたい売主A:業者に取引の媒介を依頼します。②業者B:物件の調査などを行います。③業者B:物件の広告を市場に流します。④家を買いたい買主C:業者に取引の媒介を依頼します。⑤業者B:重要事項の説明を行います。⑥売主A+買主C:契約を交わします。⑦業者B:契約書面を交付します。⑧売主A+買主C:契約を履行します。(Aは家を売り、Cは代金を支払う)⑨業者B:報酬を受領します。

この流れの中で、宅地建物取引士にしか任せられないのは⑤重要事項の説明と⑦契約書面の交付の場面です。このプロセスを資格をもたない人がおこなってしまうと…相応の罰を受けます。

取引士が説明しなくてはいけない重要事項とは?

登録された権利
物件の名義人はだれになっているのか?権利の種類はどうなっているのか?
法令上の制限
該当する土地に何メートルまでの建物が建てられるか?などの都市計画法や建築基準法の制限について
生活設備の整備状況
電気、ガス、上下水道などの設備はどうなっているのか?などについて
建物がまだ出来ていない場合の完成時の形状
どんな内装や外装になるのか?などについて
マンションの場合の説明
敷地の権利、管理費用、マンション内のきまりごとなどについて
賃借の場合の説明
契約期間、敷金の金額などについて

取引士が責任をもって記名・捺印しなくてはならない、契約書面に書くべきこととは?

  • 当事者の氏名や住所
  • 物件の特定に必要な表示(物件の住所など)
  • 物件の引き渡し時期
  • 移転する場合はその登記を申請する時期
  • 金額に関すること(代金や貸賃などについて)

※このほかに契約を解除するためにはどうしたらいいか、物件に瑕疵(白アリに床が食われていた!)などの問題があった場合のとりきめについてなどを記載するケースもあります。

このように宅地建物取引士は、契約を安全かつ公正に結ぶために必要不可欠な存在であり、それが高いニーズに結び付いているんですね。

宅地建物取引士の活躍の場

宅地建物取引士は不動産取引の場で、なくてはならない存在です。そのため活躍の場は確実に保障されています。
加えて、「不動産」自体が人々の生活に深く結び付いている要素でもあるため、不動産の「取引」以外にも活躍の場があります。

不動産会社

宅建取引業(不動産の取引や仲介業務を行う事務所では、一定の人数以上(事務所=従業員5人に対して取引士1人、住宅展示場などの案内所=最低1人)の取引取引士を設置しなければならない決まりになっています。
このため、不動産会社では宅地建物取引士資格を必須資格としているところも少なくありません。(企業によっては「資格手当」の支給や、採用時に優遇措置をとっているところもあります)
資格を武器にした独立開業への青写真も描きやすい業界です。

金融機関

日本では融資を受ける際に不動産を担保にするケースが多いため(住宅ローンでも自宅を担保にしたりしますよね)、不動産取引の知識が重要になってきます。また、不動産業者と取引をする場合などにも、事業計画の審査を行う場面などで知識を生かすことができます。
加えて、試験の内容に民法に係る部分が多く出題されますので、取引に係る法知識の習得も期待できます。そのため一部の企業では宅建試験の勉強のための環境を整えているところもあります。

一般企業

一見不動産取引と関係がないような企業においても、少なからず企業運営と不動産が結びついています。新規店舗の出店を考えていたり、自社で管理する不動産があったりする場合に宅地建物取引士の知識を生かすことができます。
また、一般企業で行われる売買や賃借契約は民法を基礎にしており、これは宅建試験で勉強する内容と多くが重複します。対象は違いますが、取引一般に通じるルールを理解するという意味でもメリット大です。

一般生活で活かす

不動産に係る金額はとても高額。家を買うにせよ、借りるにせよトラブルを避けたいのは当たり前ですね。未然にトラブルを防止するために、重要になってくるのは契約の内容をきちんと理解できるかどうかということです。
この点で宅地建物取引士資格の知識をもつことは、より有利かつ安全に不動産取引を行うためにとても有効です。
(毎年、主婦の方の中からも4%前後の合格者が出ています。)

試験日程 (2021年度)

※持参による受験申込は行っていません。

実施要項発表日 6月4日
願書配布期間 7月1日(木)~7月30日(金)
申込期間 インターネット
7月1日(木)9:30~7月18日(日)(21:59まで)
郵送
7月1日(木)~7月30日(金)
試験日 10月17日(日)
合格発表 12月1日(水)
※詳しくは試験機関にお問い合わせください。

試験データ (2020年度)

受験者数 10月 168,989人 12月 35,261人
合格者数 10月 29,728人 12月 4,610人
合格率 10月 17.6% 12月 13.1%
受験料 7,000円
実施団体 (財)不動産適正取引推進機構
TEL: 03-3435-8181

住宅新報からワンポイント

宅建試験の合格率はおおむね15~16%で推移しています。実に10人受験をして1人か2人しか合格しない計算になります。
しかし、宅建試験自体の難易度はそこまで高くありません。

四つの肢から正解を一つ答えるマークシート式で、50問中35問前後(年によって合格ラインが若干上下します)正解できればだれでも合格できるのです。

それではなぜ、こんなにも合格率が低いのか…?

それにはいくつか理由があります。
一つは単純に受験者数が多いということ。受験者は18万人前後で推移しており、他の資格と比べてもかなりの規模です。分母が大きくなるために合格率が下がって見えるというわけです。
二つ目は受験する方のモチベーションに大きなひらきがあることです。

宅地建物取引士資格は、不動産と関わる仕事において必須とされる資格です。そのため、企業側からも取得を強く期待される傾向があります。場合によっては忙しい実務と試験対策を両立せねばならず、試験へのモチベーションを維持できないなんて方も…。

宅建試験は対策がしっかりできてさえいれば、結果を残すことが難しくない試験ですが、逆に試験対策なしでは正直合格が難しい試験です。そのため、本試験まで勉強を続けるモチベーションを維持できているかどうかが合否を分けるのです。
つまり勉強を続けてきたかどうかが合格(ひいては合格率)に大きくかかわってくるのです。

以上のことから、試験の合格率の低さはいずれも人気資格であるが故のことと言えるでしょう。

難易度★★★ 資格の有用性★★★★★