張田満さんプロフィール
1972年苫小牧市生まれ。高校卒業後、地元の企業での営業職を経て、30才でテレビ番組制作会社に転職。ディレクターとして多忙な日々を送る。2010年にアパート投資を始め、1年10カ月で給料の倍以上のキャッシュフローを得るまでに規模を拡大する。2012年にセミリタイア。2014年に家族でマレーシアに移住し、現在は子育て中心の自由な生活を満喫中。
■ セミリタイアを決意したきっかけは東日本大震災
――セミリタイアを考えはじめたのは、いつからでしょう?
張田満さん
きっかけは、2011年の東日本大震災です。直後の中継を会社のテレビで観ていたとき、心には思うことが溢れているのに、現実は仕事に追われ、震災前とまったく同じ毎日を送っている自分に嫌気がさしました。家族との時間を大切にしたいという思いも、この日を境に強くなりましたね。娘たちの父親は自分しかいない、このままでは後悔する、と感じました。
――すぐに辞表を出したんですか?
張田満さん
その時はまだ1棟しかなかったので、物件を増やしてキャッシュフローを積み上げてから辞めようと思いました。実際に会社に伝えたのは、2011年の12月で、退社はその7カ月後。みんな大変なのに、周りから「辞めるの?」と聞かれたりして、この期間が一番きつかったです。
――セミリタイアすることに対して、奥様の反応はどうでしたか?
張田満さん
喜んでいました(笑)。僕の仕事があまりにもハードだったので、辞めるといったら、かえって安心してくれたみたいです。退社するときはアパート4棟と戸建て1戸があり、家賃収入が会社員の収入を上回っていましたし、妻も働いていたので、金銭的な心配もありませんでした。
僕自身も、3棟目に買った10室全空のボロアパートをリフォームして満室にできたことで、大家としてやっていける自信がついていました。この物件は周囲から「難しい」と言われたものですが、今では利回り27%の稼ぎ頭になってくれています。
■10戸の空室全てに一日で申し込みが入った
――札幌は賃貸経営をするのに厳しい環境だと聞きますが、実際はどうですか?
張田満さん
僕の物件に関していえば、現在、全40戸中空室は2戸です。空室が出たときは、情報を知り合いの業者さんにメールで流してから、データと写真を入れたCDRを持って、満室になるまで営業を続けます。正直、そんなに大変という意識はありません。10戸全部が空室のアパートを買ったときも、一日で埋まりました。
――一日ですか? どんな技を使ったのでしょう?
張田満さん
まず、アパートの近くにある大学生協の不動産部で、どんな部屋なら埋まるかをヒアリングして、「埋まる物件」を作りました。といっても、モニターホンを付けるなどの簡単なことです。次に、学生向けの小冊子の中に1ページの広告を出して、その物件の存在をアピールしました。すると、募集を開始したその日に、全部屋に申し込みが入りました。
ライバルが年配の大家さんたちなので、若い学生が好む感性の部分で、優位に立てたと思います。自分で営業に行く話をすると、東京の大家さんに「大変ね~」と言われますが、仕事だと思ってやれば、こんなに楽な仕事はありません。不動産に使う時間はほんの少し。子供と出かけたり、車をいじったり、仲間と遊んだりする時間はいくらでもあります。
――他に、入居率を上げるために工夫していることはありますか?
張田満さん
物件を買うときは、ファミリータイプで築浅のものを選んでいます。小学校やスーパーが近くにあるのは必須です。なぜファミリータイプかというと、シングルタイプは出入りが激しくて、リフォーム代や広告費などの出費が大きいからです。それだけでなく、自分に何かあったとき、そこに家族が住めるという意味もあります。ですから、自分たちが住みたくないような物件は買っていません。
その他に、入居者さんにお歳暮として、ロイズのチョコレートセットを贈っています。食べてくれた入居者さんは、クレームを言いにくくなると思うんですよねぇ(笑)。もしかしたら、引っ越しを思いとどまってくれる人もいるかもしれない。そう考えると、すごく安い投資なのかもしれません(笑)。安い物件を買い、相場よりも少し安く貸して、長く住んでいただくというのが基本的な考えです。
■ アパートが全部なくなっても会社員には戻らない
――張田さんは、不動産投資を始めて数年で給料の2倍を超えるキャッシュフローを得られるまでに規模を拡大されました。それも、最初はハードな仕事をこなしながら、買い進めてこられたわけですよね。忙しい中でこれほど行動できた秘訣はなんでしょう?
張田満さん
大変なときも、なりたい自分をイメージして、あきらめなかったことだと思います。それと、妻や両親の存在も大きいですね。実は、1棟目のアパートを買ったあとで両親に不動産投資を始めたことと、毎月のキャッシュフローの額を伝えたら、資金援助を申し出てくれたんです。身近な人たちが僕の思いを理解してくれることで、思い切って行動できますし、絶対に成功するというモチベーションにもつながりました。
――2014年には家族でマレーシアに移住されたそうですね。感想を教えてください。
張田満さん
最高です! 自分の時間が自由に使えて、好きなだけ勉強できて、会いたい人にすぐに会いに行くこともできます。今、アパートが全部なくなっても、絶対にサラリーマンには戻りません。当時、「当たり前」にやっていたことって、本当はすごく自分を無理させていたんだなと感じています。
3人の娘たちもマレーシアの生活がすっかり気に入った様子です。マレーシアは国際色豊かな街。娘たちに地球規模で物事を考えられる人になってほしいですね。妻もずっと働いていたので、海外で子供と向き合えていることを喜んでいます。
――次の目標は何でしょう?
張田満さん
僕自身の目標は、北海道を元気にする活動を進めていくことと、「書籍出版」をライフワークにすることです。物件も、もう少し増やします。会社を辞めたら融資がつかなくなるかなと思っていたのですが、実際はリタイヤ後にローンを組んで、物件を買い進めることができています。あとは、自分が思う理想の自分になりたい! そのためにも、家族と仲間を大切にしながら、自分の心に正直に生きていきたいですね。
前編:第11回 大家開始から1年10カ月で自由を手にした元TVマン大家さん
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