大相続市場の登場を目前にした住宅不動産業界の課題

大相続市場の登場を目前にした住宅不動産業界の課題(6)

住宅不動産を活かし、ストック社会形成に貢献

 私たちは、2005年の創業以来、「住宅取得が個人の資産形成に直結する社会の実現」を目指して、個人が住宅不動産を納得し安心して取得(購入)、居住(運用)、住替(売却)できる環境をつくることに貢献する、をテーマに活動してまいりました。住宅不動産市場においては、住宅建築、住宅分譲、不動産取引のどの分野においても多かれ少なかれ「情報の非対称性」を背景とした生活者と事業者の対等でない関係があり、そのことが生活者の財産取得、形成からその継承、活用を納得して進める上で大きな障害となっていると考えています。例えば、従前より行ってきた地域の地主や富裕顧客の保有不動産資産にかかわるさまざまな相談に応じるためのコンサルティングスキルと多様なソリューションの提案力を身につけるための事業者ネットワーク「ハイアークラブ」の運営も、住宅不動産市場に横たわる大きな障害を排除するための取り組みの一つです。あるいは、不動産取引における情報の非対称性解消を目指したインスペクション斡旋の義務化の決定や、ハイアスではすでに「ans事業」として取り組んできた消費者の啓発活動も、「消費者等に対する住まいに関する普及啓発の推進」として住生活基本法の閣議決定(平成28年3月)に盛り込まれ事業者として住教育を進める必要性がますます高まるなど、住宅不動産の事業を取り巻く環境やルールはどんどん変わっていきます。

 時代の要請をいち早く捉え、社会的使命感をもとにした私たちの考えに賛同し、ともに行動していただける全国各地の住宅不動産ビジネスに取り組む企業の経営者とそのメンバーの皆様とともに、私たちはこれからも個人最大の財産である住宅不動産の資産価値の維持向上にコミットし、個人が安心、納得して住宅不動産を扱える環境の実現に向けチャレンジし続けねばならないと考えています。

『家族の幸せと財産をつなぐ不動産コンサルティング~もめる相続 もめない相続 カギとなるのは不動産~』

○著者=川瀬太志・矢部智仁・不動産相続の相談窓口プロジェクト
○発行=住宅新報社
○定価=1200円(本体、税別)

 不動産相続の相談窓口では「新・不動産ネットワーク 不動産相続の窓口事業説明会」を全国各地で開催している。詳しくは、「不動産相続の相談窓口セミナー」を参照

濱村聖一(はまむらせいいち)

大手コンサルティング会社で自動車、重電、鉄鋼など大手メーカーを、住宅不動産業界では大手ハウスメーカーから地域工務店まで幅広い領域を対象にコンサルタントとして実績を積んだ後、住宅不動産事業者に経営革新をもたらす「ビジネスモデル開発事業」を手がけ、2005年にハイアス・アンド・カンパニー株式会社を設立。