■正直者の不動産営業とは?
主人公の永瀬財地は、吉祥寺駅徒歩5分にある「登坂不動産」で、売り上げナンバー1を叩き出すやり手の営業マン。
「正直者がバカを見る。嘘ついてなんぼのイカレた世界…それが不動産の営業だ。」
そう言い切る彼は、口八丁の巧みな営業トークで大きな契約を次々に取りまとめ、営業成績も常にトップを独走。上司や同僚からも一目置かれる存在であった。
そんなある日、とある更地に祀られていた石碑を「地鎮祭の邪魔だから」と無下に破壊したことが、永瀬の人生を大きく変えることになる。
江戸時代の高僧が災いの神を封じるために建立したという、いわく付きの石碑にたたられたのだ。彼はそれ以来、まったく嘘がつけず、思わず本音が口から出る人間になってしまう。
契約させてナンボの不動産営業を「本音だけ」で取りまとめ、成績を維持することは非常に難しい。彼がこれまで駆使してきた口八丁の営業トークが使えないばかりか、余計な口を滑らせて顧客やオーナーを激怒させ、営業成績も下がる一方。しまいには、上司からもクビをちらつかされる有様に。
しかしそんな苦悩の中で永瀬は、新卒で入社した女子営業マンの誠実さに心を打たれ、本音こそが、信頼を得て人を動かす原動力であることにあらためて気づく。
そして彼は決意するのだ。これからは「正直不動産 永瀬財地」で行こうと。
追い打ちをかけるライバル同僚も出現し、不動産営業の仁義なきバトルが過熱していく中、正直者に生まれ変わった彼がどう立ち向かっていくのかは、ぜひ本書を読んでいただきたい。
■幅広い読者層に向けたメッセージ
さて、同書が人気を集めている理由のひとつに、ストーリーを通じて、「サブリース契約」「専属専任で両手囲い込み」「おとり物件」など、不動産業界特有のグレーな営業手法を学べるという点がある。
本書の原案者である夏原武氏も巻末のスペシャルエッセイを通じて、不動産取引とはどういうものか、その実態がどうなっているかを詳細に述べている。
そのロジックは、不動産関係者から見れば周知の事実なのだろうが、「顧客側」である住宅購入者や、新米の不動産投資家から見れば、意外なものも多い。つまり、学習マンガとしての意味合いもあるわけだ。
本書はあくまでフィクションだが、不動産関係者なら、読み進める中で、思わずニヤリとしてしまうシーンも多いはず。読んでみて損はない一冊といえるだろう。
(参照:健美家ニュース)
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