前田大臣 住宅も長寿命化してくれば公共財です。その時代、その地域のニーズに合った機能を発揮できるように戦略的にマネジメントしていく必要があるのが社会資本、公共設備の維持管理です。これまではコンストラクションの方に目が向きがちでしたが、これからは維持管理更新の方が重要です。その方向に組織、制度を変えていかなければならないでしょう。
住宅政策もそうで、住宅の上物に価値があれば老後も豊かです。住宅を持続可能なものにしていけば、各地域で大工さんも設計家も工務店、建設会社も仕事になります。
街もそうです。最近のビルはペアガラスくらいにはなっているが、断熱できていないのがほとんどです。住宅・業務系ビルで消費するエネルギーが全体の3分の1、CO2の排出量も3分の1で、ここの断熱・省エネの住宅・街づくりをやっていけばエネルギー問題の解決になるし、併せて耐震をやれば、本当に安全・安心な街づくりになります。
それを持続的にやっていけばいいわけで、エンドレスに、全国各地域に改修や更新のための仕事が生まれます。住宅・街づくりは経済のあらゆる分野に及んでいるので、これをやることが「持続する経済」だと思います。
大工場や先端企業はもちろん重要ですが、それだけに頼るようではだめです。その意味で街づくりは非常に重要になってきていると思います。
木村会長 社会インフラのあり方が高度成長時代と今では相当変わってきています。更新時期を迎えた交通インフラが増えてきて、ライフラインも震災を経験して効率の悪さが浮き彫りになったものもあります。それらは是正するべきです。
その意味からも、第3の開国といわれるいまの時代に、国には、改めて国土利用のあり方をどう考えるかというプランを練っていただきたいということです。PFIではないですが、行政側からの要望を受けて、我々民間が企画から遂行段階まで参画することで『民間の知恵』が入り、多少とも効率がよいものができるのではないかと思います。いまはまだ、企画は官の方で、実行だけ民間でとなっているのが現状です。
また、インフラファンドをつくるのもいいと思います。生保など機関投資家は投資先を探していますから、開発主体がしっかりして、キャッシュフローが生まれる公共施設のPFIなら投資してくるでしょう。
もう1つ申し上げたいのは、地方では街づくりなどの人材が不足しているということです。被災地を回ってみて、コンパクトシティもそうですが、地元では都市計画とか街づくりができる人材が少ない。すでに都市再生機構などから人材を派遣されているようですが、中央と地方の人事交流のようなものがあってもいいと思います。最後は、人材が勝負ですから。
前田大臣 地方にいって実務を担当していただいて、必要なら地方に定着してもらうことも必要かもしれません。 例えば、環境未来都市構想の中で定置型の大容量バッテリーを入れてという提案がいくつか出てきています。
これは日本が最先端にあり、東北の復興にもぜひそれを推進したいと思います。ゆくゆくは1000兆円オーダーの市場になると言われていて、どう市場化できるかにかかっています。
木村会長 都市と住宅は社会資本財として100年持つとか、ストックとして耐えられる良いものをつくっていくのは当然です。断熱・省エネを含め、日本でもようやくそういう機運が高まってきました。官民で一緒に推進できればいいと思います。