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NCN、大規模木造事業拡大へ 岐阜の加工会社を連結

 エヌ・シー・エヌは10月4日、オリジナル不燃木材の製造販売や、大断面集成材加工、大規模木造建築の施工などを手掛ける翠豊(岐阜県加茂郡、今井潔志社長)への第三者割当増資の株式取得の払い込みを完了。今回の出資により、翠豊の議決権割合の51.2%相当の株式を取得し、同社を連結子会社化した。2050年のカーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に向け、中大規模建築物の木造ニーズが見込まれる中、シナジーによって事業規模の拡大を進める方針だ。

 翠豊は、エヌ・シー・エヌの登録施工店として、同社独自のSE構法による木造建築の施工実績を重ねているほか、20年にウッドデザイン賞を受賞した「流通経済大学佐伯記念武道館」(茨城県龍ケ崎市)や建築家・坂茂氏が設計した「大分県立美術館」(大分県大分市)など、公共建築を含め、多岐にわたる大規模建築物の施工実績を重ね、近年の大型木造化プロジェクトの案件にも多く関わるなど、大手ゼネコンからの受注基盤も確立している。

 エヌ・シー・エヌは、木造住宅で培った構造計算などのノウハウを生かし、幼稚園や介護施設、店舗、オフィスといった大規模木造建築などの非住宅領域へ転用することで、事業規模の拡大を推進しており、非住宅案件の問い合わせ件数は年間530件に上る。また、昨年10月に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、木材利用を促進する対象が民間建築物にも拡大したことから、構造計算が必要となる大規模木造建築の建設需要の拡大を見込む。

 今回の連結子会社化によって、同社の営業力と翠豊の技術力のシナジーを見込む。人材採用、設備投資、施工ネットワーク構築などによって翠豊の認知度向上やキャパシティの増大を進め、機械では対応できない職人による加工や多種多様なデザインへの対応力といった翠豊の持つ強みの最大化を目指す。また、大規模木造の施工や特殊加工技術・プレカット加工などのノウハウを内製化することで、大型化や特殊化が進む大規模木造建築に対応するための事業体制の強化や事業領域の拡大を進める方針だ。