ど素人から金持ち大家さんになった人々

第15回 千葉の高利回り物件で家賃年収1,400万円の「アキバ系夫妻」

上総百万石さんのプロフィール
1979年、神奈川県生まれ。高校時代に趣味を生かしたビジネスをスタート。1999年にロバート・キヨサキの本に出会い、不動産投資の勉強を開始。2010年からボロ戸建てやアパートなど、超高利回りの木造物件ばかりを買い始める。2011年に結婚(夫32才、妻24才)。本業も不動産投資も妻と二人三脚で取り組んでいる。家賃年収は約1,400万円。

ネコミミさんのプロフィール
1987年、東京都生まれ。高校時代にアキバ系イベントで上総百万石さんと出会い、仕事を手伝うようになる。本業では夫の右腕として活躍。不動産投資ではリフォーム担当として手腕を振るっている。

■ 千葉県内の木造高利回り専門で家賃年収は1,400万円超

――自己紹介をお願いします。

上総百万石さん 
いわゆるアキバ系ビジネスの会社代表をしている上総といいます。高校時代に起業して、これまでアキバ系一筋でやってきました(笑)。不動産投資を始めたのは、売上に波がある本業のリスクヘッジが目的。もともと、20才くらいでロバート・キヨサキの本に出会い、日本の税制との差を調べながら、不動産を買う準備を進めていました。現在の所有物件は11棟33部屋で、家賃年収は1,400万円強です。

ネコミミさん 
上総百万石の妻のネコミミです。ビジネスやお金を増やす仕組みに興味があり、10代の頃から、主人の仕事を手伝わせてもらっています。不動産投資ではリフォームのデザイン、予算、発注先の選定等を担当しています。ゼロから形を作るのが得意な主人が予算と仕入れと融資を担当。私はそこから最大限の利益が生まれるように工夫する係です。

――利回り20%を超えるような超高利回り物件を多くお持ちだそうですね。千葉の物件は東京の投資家も狙っていますし、高利回り物件を見つけて運営するにはスキルがいると思うのですが。

上総百万石さん 
安い物件を買える理由に、築古の木造に投資対象を絞っていることがあります。なぜ築古ばかり買うのかというと、僕らの本業は売上利益が高く経費率が低いので、築22年以上の木造物件を買って4年で減価償却し、税金を抑えることも不動産投資をする目的のひとつだからです。

また、ほとんど現金買いで、借地や再建築不可や全空でも気にしないこと、リフォーム前提で建物が沈下しているような廃墟物件(笑)でもOKなことも利回りが高くなる理由ですね。

僕は成功者のマネをすることも大事だと思っているのですが、尊敬する投資家たちを見ると、多くの方が最初の頃、キャッシュや家庭内レバレッジ等で、かなりの高利回り物件を買っているのでそれを取り入れました。

ちなみに以前、同じ物件を金利4.5%の借入で買った場合と、現金や1%台の金利で買った場合を比較したところ、その差は「初年度から赤字」と「10年で倍額の黒字」という恐ろしい結果がでました。木造も最初に大きな返済率のローンを抱えると厳しいですよ!

■ 物件の情報をもらって1時間後には現場について調査開始

――なるほど。金利の影響は想像以上に大きいんですね。ところで、現金買いとはいえ、高利回り物件を買うのは競争が激しいのでは?

上総百万石さん 
確かに、スピードは重要です。以前、2棟一括で利回り28%という物件情報をもらったのですが、電話を受けて2時間後に現場に着くと、すでに2番手で落ち込みました。それ以降、電話が来たらすべての仕事を止めて60分以内に現場に到着し、10分でリフォーム費用を計算して、良ければすぐ買付を入れるというルールを自分に定めています。

そのルールを紙に書いて部屋に張り、怨念を唱えながら日々を過ごしていたところ、一週間後に2DK×10戸の平成築のアパート情報をもらい、1,350万円で買うことができました。満室想定家賃は540万円で、駐車場等の収入を入れると表面利回りは43%あります。そのときは電話をもらって1時間以内で現地に着いて物件を調べ、その場で買付用紙を提出しました。

物件の情報ルートをよく質問されるのですが、業者さんに欲しい物件の条件と自己資金を伝えて、一番に情報をくれるように戦略的にやります。レスポンスを早く正確にして、「買いたいだけの客」でなく「即決で買える客」であるコトを先方に伝えるんです。一番最近買ったアパートは、別物件の用事で業者さんを訪問したときに入ってきた情報で、瞬時に買付けをいれました。

――物件がすべて千葉にある理由と、客付けの方法について教えてください。

上総百万石さん 
千葉なのは地元なので、仕事の合間にサッと現場に行って用事を済ませられるからです。客付けについては、物件ごとに方法を変えています。例えば、最初に買った4棟の平屋は、本当に廃墟だったので、不動産屋さんを経由して入居した人は一人もいません。

「一応仕事をしているけれど、お金がなくて、かといって国の世話にもなりたくない」というような、言い方は悪いのですが生活保護よりももっと厳しい状況の人たちが、職人さんの紹介等で住んでいます。そういう人たちは他に行くところがなく、長く住んでくれますし、部屋を提供することで人助けになればいいな、と考えています。

それ以外の物件は、リフォーム後に自分たちで写真を撮り、チラシを作って、営業に回りました。おかげさまで募集している物件については満室です。今リフォーム中のアパートも、早く仕上げて募集したいですね。

■ 新築物件の完成前に業者さんが倒産するという大失敗

――勉強家で努力家という印象です。失敗経験などはありますか?

上総百万石さん 
実は、2012年の秋に、先にお金を支払い、業者の主導で約2,000万円の商業物件を新築したとき、建物の完成前にその業者が倒産して逃げてしまいました。仕方なく未完成のまま売りに出したものの、投資額の半額以下でも売れず、男泣きしました。

――その後、どうなりましたか? 

上総百万石さん 
妻から、「泣いている時間があったら対策を考えよう」と励まされて、涙をふきました(笑)。その後、工事を引き継いでくれる業者が見つかり、今は工場での野菜作りを研究する会社が丸ごと借りてくれています。「10年借りてくれたら、内装工事費を大家が全部負担する」という特約をつけたのが、入居の決め手になったようです。

弁護士さんに相談して、長い時間をかけてお金は戻ってきたものの、当初の予定は大幅に変わりました。自分たちが「戦闘労働」した時間とお金がムダになったと思うと、かなりつらかったです。お金があるからといって調子に乗って、人任せにしたからダメになってしまった。このときの経験から、経験のない素人が設計を考慮するのは難しいと思い、その後は中古に的を絞っています。

――メンタルの強い奥様でよかったですね。

上総百万石さん 
そうなんです。僕はお金の鬼なので、数字に細かいですし、損をすると深いところまで沈みます。でも、妻はそういうとき、「いつまでも落ち込んでいたら、夢を達成できないよ」と瞳をキラキラさせて励ましてくれるんです(笑)。とてもありがたい存在です。

後編:第16回 日本政策金融公庫でフルローンを受ける方法とメンターの選び方


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