しかし、残念ながら成功しているとは言い難い物件も少なくない。その要因を分類すると、大きく3つの失敗ポイントがあるので、次に紹介する。
●賃貸併用住宅の失敗ポイント① 立地
一つは『立地』。ご存じのように、都心部での賃貸住宅ニーズは駅からの所要時間に大きく左右される。駅から徒歩5分なら、多少無理があっても借り手は付くが、それが15分以上となると、よほど『賃料が安い』『広い』『宅配ロッカーがある』など特徴のある物件でなければ難しくなってくる。
だが、親の自宅を建替えて賃貸併用住宅にするなどの場合、立地は最初から決まっている。にもかかわらず、市場調査をすることもなく、それが適地であるかどうかの検討もしないままに建ててしまう場合も多い。新築時ならまだしも、築年数が経過していくとだんだん空室が目立つようになる場合が多い。
●賃貸併用住宅の失敗ポイント② 賃貸部分を冷遇
もう一つは、『賃貸住戸を、日当たりなどの条件が悪い場所に追いやって建ててしまう』こと。つまり、大家の自宅を最も良い場所に配することで、必然的に他の住戸は条件の悪い場所になり、借り手が付かないというもの。入居者最優先とまではいかなくても、快適に生活できる環境を整えることは最低限必要だ。
●賃貸併用住宅の失敗ポイント③ 過大な建設費
最後の1点は『自宅ということで費用を掛け過ぎてしまう』というもの。建設費が不必要に膨らんで、後日、それを回収するのは難しい。また、エレベーターなどの維持費が高い設備を入れてしまうと、初期投資に加えランニングコストも膨らんでくる。建設される建物の規模と、設備の必要性を考えた上で、導入するかどうかを決めた方が良いだろう。最初の段階で、収支が合わないことを理解しながら進める不動産投資ほど絶望的なものはない。
そうした、『建てて反省するような賃貸併用住宅』にならないためには、建てる前に十分な市場調査を行い、その土地のニーズに合わせた計画にすることが何より大事。ハウスメーカーの多くは利回りが高く見えるワンルームなど単身者向きの間取りを勧める。しかし、そもそもワンルームにニーズがない場所もあり、地元の管理会社などに成約事例を確認するなど、どんな物件を建てるかは慎重に検討したい。間取りだけではなく、宅配ロッカー、駐車場その他、プラスαを付けることで借りてもらいやすくなることもある。
もし、既に建ててしまい、空室が埋まらないというのであれば貸し方を検討してみるのも手。たとえば住居オンリーではなく、SOHO可、オフィス可であったり、ネイルその他のサロンユースもあり、などとするのである。賃貸としてではなく、短期のスペース貸しなどという手もある。
いずれにしても事前に地元の不動産会社その他、信頼できる人達を味方に付け、市場ニーズをよく検討することが肝心だ。
(参照:増える賃貸併用住宅事業で、気をつけておきたい3つのポイント)
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