大和ハウス工業とNTTデータは4月13日、地域金融機関一行と共同で住宅ローン業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた実証実験を開始した。住宅ローンの申込人・住宅事業者・金融機関の3者のコミュニケーションのデジタル化や申し込み情報の伝送に関する住宅ローン業務の効率化について検証する。実証機関は23年7月31日までを予定。
大和ハウス工業は、現場の省人化・工期の短縮・コストの低減を実現する「次世代サプライチェーン」の構築を目指し、DX化を加速しているが、住宅ローン業務においては、ローン申し込み時の紙ベースのやり取りや電話・FAXを中心とした審査、スケジュール調整などのコミュニケーションといった住宅事業者や金融機関の負荷が高い従来の手順が多く残るなど、DX化が遅れていた。
そこで、両社は①デジタルを活用したコミュニケーションの最適化、②住宅ローン申し込み情報の電子化、③マイナンバーカードやマイナポータルAPIの活用――を実施。サービスのプロトタイプを活用して事前審査から融資実行までのフローを再現することで、住宅ローンに関する情報伝達のデジタル化における有用性・操作性を確認する。
審査状況などを専用のウェブページやアプリなどで供給し、リモート面談やチャットなどデジタルを活用したコミュニケーションを行うことで、電話対応に伴う住宅事業者や金融機関の負荷軽減を図ると共に、申込人の細かいフォローやサポート時間の創出や利益成長の実現を目指す。
住宅ローン申し込みにおいては、多くの金融機関が導入し、行政機関と連携している、NTTデータが開発した預貯金照会電子化サービス「ピピットリンク」の情報伝送機能やネットワークを活用。1度の入力で住宅ローン申込に関する情報を複数の金融機関と連携することで、申込書の複数枚記載などの手間を省く。
更に、マイナンバーカードやマイナポータルAPIを活用することで、住宅ローン情報の自動入力によって、申込人による手書きの申込書の記入やスマートフォン・タブレットの入力や、金融機関における申込内容の確認などの作業を省く。
将来的には、マイナンバーカードを活用した個人属性情報や公的書類の連携、住宅事業者の顧客管理システムとの連携、損害保険会社と連携による火災保険販売のデジタル化といった、住宅ローン業務に関する総合プラットフォームへの拡張を目指す。また、取り組みに賛同する住宅事業者や金融機関を募り、住宅ローン業務に関わる業界全体の業務効率化や生活者の利便性向上を目指す考えだ。