ふるさと納税が大流行しているという。この4月から、年間5自治体までの寄付なら、寄付ごとに申請書を自治体に郵送することで確定申告が不要となった。また、還付、控除額もこれまでの2倍に拡大され、ますます増える勢いだ。
▼ふるさと納税で話題になったのが、自治体独自の特産品などがもらえることだ。山形県上山市では、山形牛やさくらんぼ、石川県輪島市では、輪島塗の座卓など、豪華賞品もある。やや過熱競争気味なきらいもあるか。そんな中、急速にふるさと納税額を伸ばしている自治体がある。沖縄県と同県名護市だ。
▼沖縄では、今年の1、2月の寄付額が前年同月の20倍以上という。名護市でも14年4~9月の寄付額は県内1位だったそうだ。特に豪華な特産品はないのに県外からの寄付額が多い。基地問題で政府と対立している沖縄県、名護市を応援しようという市民らの寄付である。
▼一部、県外の活動家が寄付などを集中させたという動きもあるようだが、実は、元外務省職員で作家の佐藤優氏が今年の1月で、政府の冷遇には「ふるさと納税」で対抗をという持論を沖縄の地元紙に寄せたのが伸びのきっかけ。それが、フェイスブックなどで広まって後押しになった。対立から対話へとようやく進む基地問題。胸襟を開く会話が自国でさえ行われないのでは、外交にもいい影響はない。