売買仲介

売買のオンライン化 GAテク コロナ対応で加速

 不動産テック総合ブランド「RENOCY」を運営するGAテクノロジーズ(東京都港区、樋口龍社長)が攻勢に出る。新型コロナウイルス影響下でオンライン化や業務効率化につながる様々なサービスを提供し、不動産取引へのテクノロジー活用を推進する。

不動産投資で非対面化 

 同社は、AIを活用した都心の中古マンション特化型の不動産投資サービス「RENOCY ASSETマンション投資」において、面談から売買契約の締結まで、完全非対面で完結する体制を構築。5月から同社の全拠点で運用を開始した。新型コロナの感染拡大防止および影響の長期化への対応として、4月の試験運用を経て実現したもの。

 各企業のテレワークが推進され、在宅時間が増えたことにより、将来の資産形成について検討する人が増加している。同社によると、東京都の外出自粛要請以降、同サービスにおける対面での不動産投資面談のキャンセル率は増加した一方、3月のオンライン面談数は前月比で約5倍に増加。成約者ベースでは顧客の年齢層は20~30代が全体の7割、年収は500万円台と600万円台がそれぞれ2割でボリュームゾーンとなる。 

 同社では、19年10月から通常契約時に対面で行う重要事項説明をビデオ通話によって非対面化する「IT重説」の社会実験に参画。遠方に住む人や多忙な会社員向けに7カ月で累計100件(4月30日時点)のIT重説を実施した。今年3月には新型コロナ感染拡大の状況を鑑みて、契約前の不動産面談を電話とスマートフォン等の端末を用いたオンライン面談体制へ移行。契約行為は原則対面としてきたが、郵送での書面交付を用いることを決定。これにより、不動産投資面談から売買契約までのプロセスの完全非対面化が可能となった。

 同社では「お客様が外出する必要がなく、当社営業スタッフも移動時間等が削減でき、時間を有効に使える」と売買契約における非対面化のメリットを指摘し「完全オンライン化の課題は37条書面の交付や金融機関へのローン申込書の提出など、郵送が必要なこと。法改正や商慣習の変化を期待する」としている。

「ブッカク」を効率化

 同社100%子会社のRENOCY X(清水雅史社長)は、不動産取引を効率化する「2秒でブッカク!」の提供を4月23日から始めた。売主側仲介会社を導入対象としたシステムで、売買物件の物件確認、内覧調整、購入申し込み等における業者間のやりとりをオンライン上で完結。買主側仲介会社への問い合わせ対応を効率化する。新型コロナ感染拡大防止として不動産業界のテレワークを推進する狙いがある。

 東日本不動産流通機構の「Market Watch20年3月度」によると、首都圏で販売中の中古マンションが約4.6万件、中古戸建てが2.3万件。それら最新の販売状況を確認するための物件確認、すなわち「ブッカク」電話は月間数十万件以上と想定されており、この作業時間の削減を目的としたのが同サービスだ。売却活動をする仲介会社は、CSVファイルで管理している物件情報を「2秒でブッカク!」にアップロードするだけで簡単に登録でき、ワンクリックで不動産広告用QRコードの作成が可能。GAテクノロジーズで実施した検証例では、1物件の売り出しから成約までに要していた主要業務時間(物件確認300分、広告掲載許諾100分)が約90%減の42分に短縮できたという。買主側仲介会社も、対象物件の不動産広告内のQRコードを読み込むことで募集状況をオンラインで確認できるため、業務の手間を削減できる。

 登録物件数に応じた月額利用料で、売主側仲介会社が負担する仕組み。各社が使用するシステムとの連携を伴わない場合は数時間での利用開始が可能だという。