首都圏で年間600戸以上のリノベーション済みマンションを販売するエフステージ。徹底検査と長期アフター保証などを強みとしたブランド強化を推進。20年7月にはFC事業「ワンリノネットワーク」の拡大計画を発表するなど、〝ユーザーファースト〟のリノベーション市場づくりへギアを加速する。同社の藤島昌義社長(写真)にコロナ禍の販売戦略と今後の展望について聞いた。 (聞き手=佐々木淳)
――前期(20年11月期)の振り返りを。
販売エリアは東京が8割、神奈川が1割で、千葉と埼玉が5%ずつ。販売戸数は600戸で19年から5%減となったが、取扱単価は上がったため増収。他方、コロナ禍の影響から4、5月に仕入れ・在庫調整をしたため利益率が下がり、20年は減益となった。販売面では夏頃から前年並みに回復。秋以降は利益率が改善し、買いの活発な動きはこの1月も続いている。昨春に想定したほどの打撃はなかったと総括している。
――自社の強みと今期の取り組みについて。
コロナ禍以降、市場の売り物件が減少している中、当社が進める「快適」「安心」にこだわった高品質のリノベーション済みマンションが選ばれている。これまでの重要インフラ部分の長期10年保証など、ブランド強化の取り組みが販売力を支えている。昨年秋以降、仕入れ件数を前年並みに戻したが、これも販売という〝出口〟で付加価値を出せるため、他社に負けない仕入れが実現できている。
コロナ禍による郊外への住み替えニーズも聞かれるが、当社が主戦場とする東京都内の買い需要は底堅い。現状では相場の下落はないと見て、今期は強気な姿勢で仕入れと販売を進める。今春には営業社員も増員する計画で、年間販売戸数700戸、売上高240億円を目指す。
――「ワンリノ」事業の進ちょくについて。
リノベ業界を見ると、足元では参入事業者が増加し、仕入れの競争が激化している。一方、リノベ済みマンションの購入ニーズは高まっており、中長期視点では高品質なサービス提供が重要だ。19年3月に始動した「ワンリノ」は、当社が持つ仕入れ・販売のノウハウやネットワークをパートナー企業と共有し、首都圏シェアトップのリノベマンションブランドへの成長を目指す取り組み。現在、約20社が加盟し、今夏には当初目標の30社に達する見込みだ。
――〝ユーザーファースト〟の市場づくりに向けて。
昨年12月に千葉・埼玉のリノベ済みマンション販売シェアトップを誇るレジデンシャル不動産との連携も開始した。同社とは、ユーザーファーストを目指す共通点がある。まずは新設した10年アフター保証ブランド「Rスタンダード10」を共同で進め、業界新基準となることを目指す。更に内装やエリア戦略、消費者向けサービスなど今後情報共有を深め、具体化していきたい。今期はパートナー事業者の業績とブランド力向上につながる取り組みを進める。
また、当社では現在ウェブ開発会社のM&Aも進めている。リノベ市場の可視化、ブランド力の強化を図るためのものだ。ユーザーへの発信力も一層強化し、具体化していく1年としたい。