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ニュースが分かる! Q&A コロナ禍の新築マンション購入意識調査 ワークスペース検討が4割以上 「通信環境」「感染対策」に注目も

 先輩記者A 2度目の緊急事態宣言が3月7日まで1カ月の延長となった。新型コロナウイルス感染拡大防止対策の正念場を迎えている状況だが、新しい生活様式の手応えや課題を見直す時期かもしれない。

 後輩記者B 私の友人を見ても、在宅勤務が板についてきたという意見がある一方で、家庭内に仕事を持ち込みにくいという声もあります。現状の住まいが持つ機能、住まいに求められる役割は様々なようです。

 A まさにコロナ禍で住まい方・働き方の多様化が問われている。そう言えば、そんなポイントに着眼したマンション購入動向調査が最近発表されたはずだ。

 B リクルート住まいカンパニーがコロナ禍の20年における新築分譲マンションの購入検討者994人を対象にした意識調査(20年10月実施。調査地域は1都3県・関西圏・東海圏)のことですね。それによると、新築マンション購入検討者の6割以上が実際に在宅勤務を行っており、また、8割弱の人が今後も在宅勤務が続くと予想しています。エリア別では1都3県の在宅勤務実施率が関西圏、東海圏を上回っているのが特徴です。

 A 在宅勤務の際は「自宅のリビング」で仕事をしている人が全体の61.2%で最多か。次に「自宅の寝室」「自宅の空いていた部屋」(どちらも20%台後半)と続いていくが、ワークスペースとして課題が付きまとうようだな。「気分を切り替えるのが難しい」という不満も全体の3割を占めている。

 B ええ。その結果は購入を検討したい間取りプランにも表れていますね。マンションの間取りの主流である「バランス型」「リビング重視型」の検討意向がそれぞれ6割を超えているのに対し、ワークスペースがある「リビングに半個室」「こもれる個室タイプ」も4割超の人が検討対象としています。このワークスペース需要は特に末子が小学生未満の世帯や、オンライン授業を受けている子供のいる世帯で割合が高くなっていることから、家族構成の影響も見て取れます。

 A マンション専有部もさることながら、共用部に対しても「安定して通信速度の速いWi-Fi環境があるスペース」(31.8%)が希望条件の最多を占めている。2位の「完全な個室タイプのワークスペース」や3位の「個室ブースや電話ブースもあるワークスペース」が上位を占めるなど、働く環境としての側面が求められていることが分かる。

 B 検討者の住宅・住宅設備に関して緊急事態宣言後(20年3月と5月で比較)に必要性を感じるようになったものを聞くと、トップは「通風・換気性能に優れた住宅」(43.9%)。2位は「通信環境が充実している」(43.1%)、3位以下は「宅配ボックスの充実」(39.3%)、「除菌対応エレベーターがある」(38.8%)、「感染症対策が取られた設備がある」(38.5%)と続き、新築分譲マンションにおいてもコロナ禍で感染症対策が求められる結果となっています。

 A 住みたい街の条件を見ても、1位が「病院や診療所、介護施設が充実している」(41.4%)、2位が「防災対策がしっかりしている」(39.7%)、3位が「歩く範囲で日常のものがある程度そろう」(39.3%)など、自宅の徒歩圏内の環境を重視する傾向がうかがえる。生活環境の見直しや整備の検討が住み替えのきっかけとなるケースもあるだろう。

 B 同社ではディベロッパー各社に対し、21~22年の新築分譲マンション供給数および価格予測についても調査しています。それによると、首都圏のディベロッパーの4割以上が19~20年比で供給数の増加を予測。東京23区の新築分譲マンション価格は、3割以上のディベロッパーが上昇すると予測しています。

 A 価格面、商品力などとの兼ね合いで新築マンション購入が受け皿となるかどうか今後も注目していきたいな。