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特定空家の解体促す 南知多町とクラッソーネが連携

 愛知県南知多町(石黒和彦町長)と建設テック会社のクラッソーネ(名古屋市中村区、川口哲平代表取締役CEO)は8月25日、「空き家除却促進に係る連携協定」を結んだ。南知多町の特定空家等の所有者に対して、同社は解体費用の概算価格を提示するなど空き家解体を促す構えだ。

 同日、両者は南知多町総合体育館の会議室で会見を行い、オンラインでも配信した。今回の協定に基づく取り組みは、(1)特定空家等の物件所有者に同社の解体費用シミュレーターを使って概算価格を無料提供、(2)空き家の解体検討者、住宅の建て替え検討者にフライヤー(チラシ)配布、セミナー開催で情報提供、(3)町内の住民、事業者に連携協定に基づく取り組みに関して情報発信――などとなる。

 同社は全国で約1500社の解体工事会社と施主をマッチングする空き家解体工事の一括見積もりサービスを運営しており、これまで累計で約7万5000件以上の問い合わせ実績がある。川口CEOは「南知多町の居住者に加え、他のエリアの居住者にも、いつか住んでみたいと思われる町としての発展を実現したい。その上で、当社が手伝えるのは空き家の除却推進。最大のネックは解体費用が分からないこと、誰に相談していいか分からないこと。それらが空き家除却の妨げになっている」と説明した。

 同社の解体費用シミュレーターは21年度の国土交通省の空き家対策モデル事業に採択されている。南知多町での取り組みを成功させ、全国の自治体との連携拡大をビジョンとして持つ。

深刻化する空き家

 南知多町では空き家問題が深刻化しており、総務省の住宅・土地統計調査(18年)では町内に約1100戸の空き家があるとされ、県内での空き家率が最も高い。倒壊の恐れなど、周辺の住環境に悪影響を及ぼす特定空家等は3月末で累計136戸ある。従来から、空き家対策に取り組んできたが、4月からはまちづくり推進室空き家対策係を設置するなど取り組みを強化してきた。官民連携で取り組むため、今回の協定に至った。

 会見で、石黒町長は「1100戸は賃貸物件や売買物件、別荘などを除く、その他空き家。その中の特定空家にターゲットを絞って取り組み、安全な町をつくりたい。解体工事業者の紹介や費用の把握は、本当に解体をしようと考えている町民にとって大きな道しるべになる」と期待を表明した。