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廃棄衣類を再生し施設で活用する実証実験 丹青社、三井化学、三井不

 商業・文化施設などの空間デザインを手掛ける丹青社(東京都港区、高橋貴志社長)と三井化学(東京都中央区、橋本修社長)は4月21日、廃棄される衣類を新たな製品へと再生し、施設などで活用する仕組みの構築を目指した実証実験を開始した。実施に当たっては三井不動産が協力し、同社の運営する商業施設「三井ショッピングパークららぽーとTOKYO-BAY」(千葉県船橋市)で試験導入および持続可能性についての評価を行う。

 今回の実証実験は、廃棄される予定だった衣類に裁断や微粉化などの加工を施し、成形原料に戻してハンガーやトルソーなどに活用するというもの。同施設内で三井不動産が運営する店舗「LaLaport CLOSET」で導入する。その評価や課題検証を通じ、施設内で発生する廃棄衣類の再活用プロセスの構築を目指すと共に、今後は様々な用途のプラスチック製品や建材・内装材の開発にも取り組む方針だ。

 こうした各社の取り組みの背景には、国内で年間約50.8万トンの衣類が廃棄されており、CO2排出や水の使用などで大きな環境負荷を与えているという社会課題がある。丹青社は空間づくりの事業の中で、そうした課題への事業者による対応に触れ、アパレル業界における廃棄衣類を「有効な資源」と見立てて社会に循環させる仕組みの構築を目指し、今回の実証実験を決めた。

 また三井化学は、性質の大きく異なる素材を合成する技術的知見を持つと共に、廃棄バイオマス素材を活用する企業や成型加工メーカーとの協業関係を構築しており、この分野の実践に向けた検討を行ってきている。

(写真) 廃棄衣類からアップサイクルされた製品例で、アップサイクルハンガー(左)とアップサイクルトルソー