■住宅消費税をどう扱うか
前田大臣 住宅の消費税は金額が大きいですから、増税となれば、経済にダメージを与えかねません。そこは何とか現実的な手段を講じて、弊害を乗り越えていけるような制度設計をしていきたい。
和田会長 この問題については、いろいろとご検討いただいているようです。ただ、個人の家、住宅として考えてみると、若者が家を持てなくなってくるわけです。例えば、3000万円の住宅で、税率が10%になると、消費税額は300万円です。若者にとっては非常に重い負担で、これでは家を持つ夢がなくなってしまい、住宅業界も壊滅的なことになってしまうと危惧しています。
前田大臣 税がトータルで住宅取得を減退させることにならないような制度に設計していくことが必要だと思います。それにはどういう制度がいいのか、大いに議論をしていきたいと思います。
■世代循環を起こす
前田大臣 どうしてすばらしい住宅団地が空洞化するのでしょうか。ニュータウンには何でもあって、庭も結構広く、敷地も50坪から60坪はあるのに。そこでは、老夫婦が居間とキッチンだけで暮らしていて、庭の草むしりも大変という状況があります。
このような住宅の流通を促進させるためには、流通業界の役割が非常に重要だと思います。定期借家権ができてから10年も経つのに、これを使っていない。住宅地の世代循環ができていないのです。なぜ、流通を活性化できないのか。団地の中にはいい家がたくさんあるのに。
奈良は昔から『建て倒れ』といって、材木の見立てから3代かけて建てる、つくりあげるのが住宅です。ですから、伝統的な住宅を含めて、既存住宅をもっと活用しなければならないのです。
ところが、団地は取得適齢期があるために全国的に同じ世代が入って、一緒に高齢化が進んで深刻化しています。
老夫婦の方々が所有する住宅には、市や県などの公的な家賃補助のバックアップを入れて、子育て世代の方々に定期借家権で安心して住んでもらえるようにする。そうすると、家賃が入ることで、老夫婦の方々は便利なケア付きマンションなどに入ることができる。そのように住宅を循環させることで持続可能な街づくりが進むわけです。
和田会長 街づくりや街の活性化など、前田大臣のご意見に共感します。我々としてもそれが実現できる社会にしたい。住宅は本当に若者の夢ですから、その夢を奪うことのないようにお願いしたい。また、CO2の削減などについて、我々自身も、民生部門の一番大事な使命として実現していきたいと思います。どんどんその輪が広がっていくように、行政とともに頑張りたいと思います。