住まい・暮らし・文化

不動産業 リノベ宣言 ~地域からの発想~ ◇12 「笑恵館」オーナー田名夢子さん自宅を開放して〝みんなの家〟に

 小田急線祖師谷大蔵駅から歩いて5分のところに「笑恵館」(東京都世田谷区)というちょっと不思議な施設というか、住宅がある。閑静な住宅街の中にあり、ウッドデッキも付いた広い庭が道路に面しているので、そこから誰でも自由に出入りができる。  1階にあるパン工房のパンを買いに来る人、買ったパンをすぐ脇にある食堂で食べる人、お弁当や飲み物を持ち込んでくつろぐ人、パソコンを開いてちょっと調べ物をする人など、入れ替わり立ち替わり、いろいろな人がやって来る。  入会金500円を払って会員になると、施設内の会議室や諸施設が低料金で利用できる。オーナーは05年に母親が他界し、自宅を相続した田名夢子さん。「家は老朽化していましたが、これからもご近所の人たちと一緒に、住み慣れたここで人生をまっとうしたい。そこで思い切って自宅を改装し地域に開放しました。ここに集う人たちと緩やかなお付き合いをしながら、ずっと楽しく暮らしていける場所をつくりたかった」と話す。敷地内のアパートに住む人たちとの交流も自然な形で育まれている。  同館の運営を任されている起業支援家の松村拓也氏は「これから、こうした施設を増やしていきたい。そうすれば地域が活性化するし、空き家問題の解消にもつながる。緩やかな家族付き合いができる人たちが増えれば、お年寄りも楽しく元気で暮らしていけますから」と話す。  (取材協力=公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会・不動産総合研究所)

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