8月に開かれた全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)、全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)の理事会で両協会の会長に再任した坂本久会長。8月25日、東京都千代田区の全宅連会館で記者会見を開いた。コロナ禍での対応や2期目への抱負について語った。
――1期目の振り返りとコロナ禍の影響は。
全宅連50周年の節目の後での就任に重責はあったが、小さな力が集まれば〝うねり〟になるというチームプレーの力を強く感じてきた。「低未利用地の利活用促進のための100万円控除制度の創設」や「銀行の不動産仲介業参入阻止」が実現できたのも、全国の会員の期待が後押ししたと共に、役員がワンチームで取り組んだ成果だ。
全宅連が7月に実施したDI調査(6面に関連記事)によると、土地価格の実感値は前回の4月調査時より改善したものの、依然下落傾向にある。緊急事態宣言以降、来店者数の減少やキャンセルの増加など売買仲介、賃貸仲介共に5割近くの事業者がマイナスの影響を受けている。次期中期計画の策定に向けてはコロナ禍の現状を見極め、慎重に取り組んでいく。
――法改正等への対応、流通市場活性化に向けて。
改正民法の基本的な考え方を引き続き会員に周知徹底する。今後は「契約不適合責任」に対応するために各種特約の知識が必要だ。現場の理解を深める取り組みを進める。
賃貸管理業適正化法については、先行するサブリース規制のガイドラインがまとまり次第、会員に周知徹底する。また、管理業者の登録制度については、業務管理者になるための講習の実施方法が当面の重要課題だ。新型コロナの影響を踏まえ、ウェブ形式での研修が導入できないかなど国交省に意見具申していく。
来年は固定資産税の評価替えを控えている。コロナ禍で企業の収益力が低下しているため、来年度の税制改正では固定資産税負担調整措置の延長に加え、課税標準の据え置き措置を要望していく。既存住宅流通活性化の施策としてはインスペクションや瑕疵保険の更なる普及促進を図る。
――会員支援および中小不動産事業者としての展望は。
これまでに入会促進プロジェクトチームを立ち上げ、PR動画作成やネット広告など一定の成果を得ている。一方、事業承継を含めた退会防止策はより難しいテーマであり、「魅力ある不動産業とは何か」を追求する姿勢が重要となる。不動産テック導入のニーズも強く実感しており、20年度の不動産実務セミナーのテーマとした。関係団体のハトマーク支援機構はIT関連企業と提携を進めるなど、ハトマークグループとして積極的に推進している。中小事業者として、地域に根を張る我々は〝地域〟という言葉が使える。本来は「地域のよろず屋」であり、各会員が地域で輝ける存在になるはずだ。