東京都宅地建物取引業協会(都宅協、瀬川信義会長)と全日本不動産協会東京都本部(全日東京、中村裕昌本部長)は11月18日、東京都の小池百合子都知事に21年度東京都予算に対する要望書をそれぞれ提出した。都は各種団体からヒアリングを行っており、両団体はそれぞれ小池都知事や局長らと意見交換を行った。
都宅協は、(1)セーフティネット(SN)住宅の登録促進に向けた財政支援策拡充、(2)民間賃貸住宅を活用した災害対策、(3)公益法人制度・運用面見直しの国への働きかけ――を要望。(1)では、20年度から開始された登録協力補助制度への期待を示した上で、民間賃貸住宅の貸主の不安や負担の解消が登録推進に不可欠であると指摘。同制度の対象・規模の拡大を含めた財政支援策の拡充を求めた。また、被災者に応急仮設住宅を迅速かつ円滑に提供できる仕組みの構築も要望した。
小池都知事は「貸主の不安軽減を図るため、見守りサービス支援などを進める。災害対策でも関係団体と連携してマニュアルを整備、周知を徹底する災害情報システムの改修も進めている」と述べた。
全日東京は、(1)都市整備推進、(2)住宅政策推進(既存住宅市場の社会的価値の向上、固定資産税・都市計画税の負担軽減など)、(3)中小不動産事業者への融資制度・支援策――を要望。防災都市づくりにおいてコロナ対策への配慮が必要とした上で、避難所として民間賃貸住宅や空き家、ホテル、宿泊可能な公の施設が利用できるよう抜本的な見直しを求めた。また都や区市町村が民間賃貸住宅を借り上げて住宅確保要配慮者に提供する制度の創設や、コロナ感染症に係る支援窓口を一本化するワンストップサービスの構築も要望した。
小池都知事は、防災都市づくりに関して木密地域の改善や新たな避難先の確保など選択肢の多様化を進めるとした上で、「無電柱化は災害対策の面からも重要。関係団体との連携を強化したい」と述べた。SN住宅については見守りサービス支援の実施や家賃債務保証制度を利用しやすくするための見直しも進めていくとした。