建設経済研究所は7月29日、21年度と22年度の「建設経済モデルによる建設投資の見通し」を発表した。それによると、新設住宅着工戸数の見通しは、21年度が84万5400戸(前年度比4.1%増)で、前回(4月)の予測値から上方修正した。20年度末からの回復傾向が継続しており、20年度に抑えられていた住宅需要が21年度に顕在化するとの見方。一方で、マンション価格の高止まりや地方圏での若い世代の減少等によって中古マンションや賃貸住宅へシフトする動きもあるとし、22年度は83万2400戸(同1.5%減)と弱含みの見通しだ。
持ち家については、新型コロナウイルス感染症の影響で減少傾向にあったが、20年11月以降は着工戸数が回復し、注文住宅大手5社の受注も増加。政府の住宅取得支援策が21年度末で終了すると想定し、駆け込み需要や注文住宅大手5社の受注が回復していることを踏まえ、21年度は27万7000戸(同5.3%増)と増加する予測。22年度は27万2000戸(同1.8%減)で微減すると予測した。
貸家については、節税メリットの縮小から4年にわたって前年同月比マイナスが続いたが、このところ実需のある三大都市圏で下げ止まりの傾向が見られることなどを踏まえ、21年度は31万2000戸(同3.0%増)と微増する予測。22年度はほぼ横ばいの31万戸(同0.6%減)の見通しだ。
分譲住宅では、マンションの契約件数が20年度後半から改善している点や、戸建てに関しても価格上昇が続くマンションの受け皿として大都市部を中心に回復の兆しが見られる点を踏まえ、21年度は25万戸(同4.6%増)と増加の見通し。22年度は政府の住宅取得支援策の終了などにより、前年度比2.4%減の24万4000戸と予測する。
同研究所では、今後の雇用情勢の変化を懸念。「例えば製造業では新しい製造・流通の仕組みに対応できない企業では雇用や金融情勢に反映してくることを考えると、22年度は別のリスクが住宅着工には存在しているのではないか」(同研究所・三浦文敬研究理事)と分析する。