ビットキー(東京都中央区)は、同社が技術を持つスマートロックや顔認証の機器を各所に後付けし、既存の建物全体を〝DX化〟させて入館などをスムーズにする仕組みを、東京建物(東京都中央区)の保有するオフィスビル「東京スクエアガーデン」(東京都中央区)に提供した。既存の設備と制御システムなどを生かしつつ、最新技術と融合させたのが特徴だ。
ビットキーの、「ITシステムであらゆるものをつなげる」思いと共に、人と仕事の間に存在する〝分断〟をなくした「新しい働き方」に対応する考えを組み合わせ、築8年の既存建物に新たな〝付加価値〟を生んだ。ビットキーが提供するコネクトプラットフォームのうち、「暮らし」や「非日常」と同様に、「働く」をつなぐ『workhub』(ワークハブ)を活用した。
既存のセキュリティ制御システムなどと機能を連携させて、定額制のスマートロック機器や、顔認証の受付端末などを設置した。例えば、既存の物理鍵の鉄扉を顔認証で自動ドアに変えるなど、ハード面ではわずかな変更ながら、建物全体をDX化している。
スムーズに入館
各サービスの提供事業者が違っていても、会議室の予約や、エレベーター制御、空調調節の各システムなどと連携ができる。利用者はスマートフォンで『wokhub』にアクセスすれば、手ぶらで顔認証だけでスムーズに入館できる(写真㊤)。共用エントランスの「非対面スマート受付」で来訪者がQRコードで受け付けを済ますと、同じQRコードで各ドアも認証されて解錠する。顔を登録すれば次回から、アポイント時間内は顔認証で入室できる。
今回、ビットキーは、同ビル内のシェアオフィスから別のフロアに移転させた「本社機能」を、見学のできる「ライブショールーム」として運営も始めている。天井の専用カメラを通じてAIが映像解析し、室内の混雑・利用状況を自動でディスプレイ表示している。各自の持つスマートフォンとオフィス内の無線機器を連携し、入退室状況や居場所を確認できる。アプリで事前に執務席を予約できるようにもしている(写真㊦)。
選ばれるオフィス
9月15日に開いた報道機関向け説明会で、ビットキー代表取締役CEOの江尻祐樹氏は、「短工期の3カ月で実現できた。今後も〝選ばれる〟オフィスビルづくりを支援して付加価値を皆さんに届けたい」と述べた。東京建物取締役専務執行役員の小澤克人氏は、「リアルとリモートのハイブリッドな働き方が一般化されていく。より〝生産性を高める〟オフィスビルのこれからの姿を示した。当社の八重洲・本社ビルなどにも同様のシステムを導入する計画がある。成長戦略の一つとして、今後も両社で協創・協業していく」と表明した。