地盤ネット(東京都新宿区、荒川高広社長)はBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)導入支援を本格化する。4月に新たに部署を設け、BIM導入を検討する企業の案件に対応する体制を整えた。同社は地盤調査・解析を手掛ける企業だが、事業領域をBIMモデルを活用した建物のパース・動画作成支援に拡大しており、今回はBIM導入支援の本格化に至った。将来的に収益の柱に成長させていく方針だ。
BIMは3次元の建物のデジタルモデルに属性データを追加したデータベースを、建築の設計・施工といった工程で活用するもの。建設に関して品質の向上、コスト削減、工期短縮といった効果が見込める。地盤ネットはこれまでもBIM導入支援を行ってはいたが、4月に商品設計や開発の相談に対応するBIMソリューション部、営業を受け持つコンストラクション営業部を設置した。両部署はBIMモデルを活用したパース・動画作成支援ではなく、図面化・設計に関するセクションになる。
荒川社長は「例えば、ゼネコンがBIM化を促進すれば、関係する会社もBIM化しなければいけない。ノウハウを必要とする企業を支援したい。また、当社から建設業界に向けてBIM化のメリットを積極的に提案したい」と説明する。BIM導入に関する内容は幅広いと考えており、まずは相談対応を積極的に受け入れる構え。個人的な意見と断りつつ「企業がBIMを導入しない理由にはコスト、人材確保の問題などがあるが、結局は現在の仕事が忙しく、新しい挑戦に踏み出せないのでは。BIMへの切り替えにはパワーもいるだろう。まずはBIM導入の立ち上げを支援したい。立ち上げが一番大変なところであり、その業務委託を受け入れたい」と抱負を述べる。
同社はベトナムのダナンにBIM関連のセンターを持ち、ダナン工科大学やダナン建築大学の卒業生を受け入れ、人材を確保している。また、オートデスク社のBIMソフト「レビット」のベトナムでの価格は日本の半分程度であり、コスト低減効果が見込める。更に、3月にはBIM設計・コンサルを手掛けるベトナムの政府系企業2社と、案件を仲介する体制も築いている。BIMに関して、政府系企業と日本の企業によるプロジェクトチームの組成なども想定する。
荒川社長は「日本の建築・設計業界は徐々にBIMに対しての必要性が増してきていると感じる。5年後にはこの事業(BIM導入支援)を収益の柱に育てたい」と意気込みを見せる。今回の本格化により業界での先行優位のポジションをうかがう考えだ。