政府は、分譲マンションの住宅トップランナー基準を23年春に施行する見通しだ。今年6月17日に公布された改正建築物エネルギー消費性能向上法において、住宅トップランナー制度の対象に分譲マンションが追加されたことを受け、6月29日の国土交通省、経済産業省合同および国交省単独の有識者検討会で示された。
事務局の基準案では、「目標年度26年度、BEI=0.8、強化外皮基準に適合」と提示。両省に環境省を加えた3省で昨年開催した「住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」では、「目標27年度、BEI=0.8程度、強化外皮基準」としていたが、大手事業者の分譲マンションのZEH化に関する動向を踏まえ、より早期に省エネ性能の引き上げを図る狙いだ。
7月11日にとりまとめに向けた議論を行い、その後パブリックコメントを実施。今年秋ごろに公布し、23年春ごろの施行を目指す。
共同住宅等の断熱性能 ZEH水準超の等級新設へ
また、国交省単独の検討会では、事務局から「共同住宅等の外皮性能に係るZEH水準を上回る等級の新設」について説明が行われた。これは住宅品確法に基づく住宅性能表示に関し、戸建てと同様に、共同住宅等について、断熱等級6および7を定めるもの。省エネ基準の段階的引き上げを見据えたより高い省エネ性能の確保を図る狙いだ。
戸建てについては既に今年3月に改正告示を公布し、10月に施行される。事務局案では、各等級の水準は、住戸間の熱損失の合理化と冷暖房にかかる一次エネルギー消費量の削減率(おおむね30%削減、おおむね40%削減)を踏まえ、戸建て住宅の等級と同等の水準とすることとした。今後のパブコメおよび審議を経て、23年4月の施行を予定する。
委員およびオブザーバーからは「『基準引き上げのおよそ2年前には基準の具体的水準および施行時期を明らかにする』という方針を守ってほしい」や「現場には厳しい水準であり、従来の等級5に対する税制優遇や補助も維持してほしい」などの意見が出された。