経済産業省は7月5日、第1回GX(グリーントランスフォーメーション)実行対策本部を開き、萩生田光一経済産業大臣をはじめ、多田明弘経済産業事務次官や平井裕秀経済産業審議官ら同省幹部が出席した。化石燃料をベースとした世界の産業構造を、クリーンエネルギーを中心に大胆に転換していくクリーンエネルギー戦略の政策具体化、連携体制を構築するためのもの。〝稼げる産業構造〟への転換を掲げ、脱炭素化と経済成長の両立を目指す。
5月19日に開かれた有識者懇談会では、エネルギー需給構造の大胆な転換を実現し、脱炭素と経済成長の二兎を同時に追求するための5つの政策の骨格が示された。更に、岸田文雄総理から、新たに官邸に設置するGX実行会議で、経済産業省で議論の具体化を進め、とりまとめを行うよう指示があったことを受け、同省に同対策本部を設置することとした。
同対策本部長を務める萩生田大臣は、「今回の大転換は水素、アンモニアなど新たな事業領域への挑戦や、脱炭素を志向するアジアマーケットの開拓などにより、〝稼げる産業構造〟に転換していく挑戦でもある」と説明。更に「今後10年間で、官民で150兆円の投資を引き出し、GXを実現する呼び水として20兆円規模の政府資金を用意する。新たな規制、制度的措置と共に、投資を加速する」と述べ、同省内の部署の垣根を越え、産業界を巻き込んでいく重要性を示した。
萩生田大臣は、同省に設置したGX実行対策本部において、政策の具体化、産業界との連携強化に向けた体制を構築すると説明。電力需給ひっ迫、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源・エネルギー供給の緊迫化などを挙げ、「足元ではクリーンエネルギーへの転換を円滑に進める上で避けては通れない課題も山積しているが、これらの課題対応も含め、全力で取り組んでいただきたい」と同対策本部メンバーに呼び掛けた。