10月3日、臨時国会が始まった。会期は12月10日までの69日間の見通し。国土交通省からは「港湾法の一部を改正する法律案」の提出が予定されている。
岸田首相は3日の所信表明演説で「経済再生を最優先課題」と述べ、10月中に策定を目指す総合経済対策への意欲を示した。新型コロナ、エネルギー・食料需給、物価高騰など様々な課題に対応しながら、DXやGX(グリーン・トランスフォーメーション)といった新たな経済成長の柱を伸ばしていけるか。取り組みの着実な実行と共に、成果の証明が問われる季節を迎えている。
臨時国会の開会に先立ち、9月30日に開かれた閣議で岸田首相は、10月末をめどに「総合経済対策」をとりまとめるよう指示。経済対策の柱として(1)物価高騰・賃上げへの取り組み、(2)円安を生かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化、(3)「新しい資本主義」の加速、(4)国民の安全・安心の確保――を示した。
国土交通省、特に住宅・不動産分野と関係するのが、人および成長分野への大胆な投資を掲げる「新しい資本主義」の加速だ。この中には、GXの推進として、住宅分野やまちづくり・インフラ分野におけるカーボンニュートラルの推進が含まれる。更に、DXの推進に向けては、建築BIM、3D都市モデル、不動産IDの連携および社会実装の加速化を目指す「建築・都市のDX」をより具体的に進めていく必要がある。
また、「稼ぐ力」については、コロナ禍からの需要回復および地域活性化の観点から、コンパクトでゆとりとにぎわいのあるまちづくりや住生活環境の充実を図るほか、「交通DX、交通GX、共創による地域交通『リ・デザイン』」といった公共交通の支援も重要性を増す。このほか、物価高騰下における子育て世帯等への省エネ住宅投資の促進や、流域治水の推進や災害時のネットワーク機能の強化といった防災・減災、国土強じん化の取り組みについても経済対策として着実な支援が求められるテーマとなりそうだ。
岸田首相は演説の中で、総合経済対策の内容を踏まえて、今国会に補正予算を提出する考えを表明。結びに、困難の一方で、変化の芽、未来に向けた希望も生まれ始めていると述べ、「信頼と共感」の姿勢を大切にして取り組んでいくとした。