1月24日に開会した通常国会で予算案の論戦が本格化し、自民党・公明党が少数与党となったことを受け、与野党共にこれまでとは異なる協議のあり方が求められている。どこまでを〝落としどころ〟として主張を通せるか、互いに神経をとがらせている様子だ。
▼予算・税制のほか、今国会での内閣提出法案は計59件(1月22日現在)。サイバー防御関連など一定の懸念が示される法案はあるものの、国会での厳しい審議を見越してか、賛否が大きく分かれるテーマは比較的少ない印象だ。住宅・不動産関連では老朽化マンション対策の法改正案が提出予定だが、これも対応の必要性は明らかであり、政策趣旨自体への社会的合意は形成されていると言えよう。
▼ただし、目的は正しくとも、その実践に向けた具体的な手段については別途精査が必要だ。予算案で言えば、「国民負担の軽減」は課題として共有した上で、対応する分野・規模が焦点となっている。同様に、個別の法案についても、制度設計等の妥当性が従来以上に重視されるのではないか。
▼だからこそ、与野党ともこれを機にEBPM(根拠に基づく政策立案)を一層意識してもらいたい。根拠のあいまいな部分は容赦なく指摘し、また受ける側も万全の理論武装で備えるという構図が望ましい。更に言えば国民にとっても、今国会は各政党の主張の合理的な妥当性をチェックする好機となるはずだ。