総合

大言小語 文句を言うなら

 3月に入り、内閣による一般法案の提出も一定程度進んでいる。住宅・不動産業界にとって最も影響が大きいのは老朽化マンション対策の改正法案だが、それ以外でも、例えば全企業に関係する法改正案などが提出されている。国会で成立した場合には、各事業者とも、新たな制度等への対応が求められる。

 ▼不動産分野に限らないため小紙通常記事では扱わないものの、注目すべき法改正案の一つに、「労働施策総合推進法等改正案」がある。全企業にカスタマーハラスメント(カスハラ)への対策を義務付けるほか、いわゆる〝就活セクハラ〟防止策も義務化する。直近1、2年で、不動産業界もカスハラへの対応を表明する企業や団体が目に見えて増加しているものの、我が国全体として、ハラスメント防止の必要性が十分に浸透しているとは言いがたい。これを機に、カスハラ以外のハラスメント対策にも意識を向けることが望ましい。

 ▼同時に、近年のハラスメント対策推進への不満感も耳にする。「何でもハラスメント扱いされて息苦しい」といった具合だ。心情は理解できるものの、不満の対象がすり替わっていることも事実。不動産仲介の「囲い込み」しかり、規制や対策の強化とは、そうした行為が目に余るほど多いという実態を反映したものに過ぎない。文句を言うならば規制当局ではなく、モラル啓発では行動を改められない「対策される側」であろう。