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記者が解説 住宅新報web週刊ニュース記事(2025/02/11〜2025/02/17)

Pick Up!

  • 上場ホテルリートの組成準備
  • 「価格高騰+住宅ローン金利上昇」
  • 東京商工リサーチ 不動産業の倒産件数

 1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事をピックアップします。まずは、1位となった「上場ホテルリートの組成準備に着手 霞ヶ関キャピタル(2025/2/14配信)」です。同社は不動産の開発・資産運用を得意とする会社です。ホテルを運用資産にJリート組成をアナウンス済みでしたが、その組成準備に取り掛かったというニュースになります。上場リートは金利上昇局面で人気が今一つですが、足もとでは割安感が高まっています。毎年のことですが、これから年度末にかけては、主要な投資家である地銀など金融機関が決算対策として益出しや損切に動き出すため、なかなかマーケットが強含みにならないとされています。

 ただ、新年度になれば、割安で投資妙味のある上場リートが物色される可能性があります。とりわけホテルは、訪日客の急増を受けて宿泊料金と稼働率が上がっていることで注目のセクターになります。

 2つ目が、3位の「『価格高騰+住宅ローン金利上昇』消費者はダブルパンチ? 政策金利は駆け上がらず(2025/2/11号)」になります。住宅・不動産各社にとって住宅ローン金利の動向は、消費者の購買意欲に直結するだけに注目度が高い分野になります。日銀の金融政策に注目が集まっており、1月の利上げに続き、今年7月もしく9月にも利上げをして現行の0.5%から0.75%になるとの観測が目立ちます。ただ、その利上げをアップテンポで駆け上がるほどの勢いで金利は上昇しないとの見方が少なくありません。

 名目GDPが600兆円を超えたことが大きなニュースとなっていますが、物価上昇によるものであり消費意欲を反映したものではなく、賃上げが物価高に追いついていない中で、日銀が利上げをすれば、個人の消費意欲、とりわけ住宅購入意欲が高まるわけもありません。今年は国政選挙を控えている中で、利上げにより国民生活が苦しくなるようであれば、自公は参議院でも議席を大きく失いかねないといったところでしょう。そのことを考えれば、政治家も利上げを急がせるようなことはしないとの見立てもあり、日銀は独立した組織とはいえ、忖度(そんたく)を強いられるかもしれません。

 最後に取り上げるのが、9位の「東京商工リサーチ 不動産業の倒産件数、2カ月連続で増加(2025/2/13配信)」になります。好調な住宅・不動産業界ではありますが、すべてに当てはまらないことを示しています。小規模な不動産事業者の倒産が目立っていますが、負債を10億円以上も確認されました。不動産価格が上り続けています。これからは各社の在庫にも気を配っていかなければならないでしょう。

 例えば、マンション用地を多く仕入れていれば、その土地に開発した分譲住宅や収益不動産がうまくさばけるのかが焦点になります。不動産価格が右肩上がりに推移するのであれば、在庫は宝の山と言えるでしょうが、すでに天井感がある中ではそれは見込みづらいでしょう。仮に不動産価格が下げに転じれば、宝の山からガラクタの山と化す可能性が高まります。

 

 

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