CBRE(日本本社=東京都千代田区)は8月27日、レポート「COVID―19:リテールマーケットへの影響とアウトルック」を発表した。このレポートはCOVID―19(新型コロナウイルス)の感染症拡大が主要リテールエリア(東京の銀座、表参道・原宿、新宿、渋谷、名古屋の栄、大阪の心斎橋、福岡の天神)で路面店舗を出店しているリテーラーに及ぼした影響を分析・考察したもの。ベースになるウェブアンケート調査は5月11日~15日に実施した(有効回答は124件)。
既存店舗の賃料減額をオーナーに要請しているかという設問では、90.9%が「要請している」と回答。賃料減額の要請期間は2、3カ月間が目安で、減額以外の支援として、オーナーに賃料の支払い猶予や敷金返還を要請したリテーラーは42.0%となる。
既存店舗を「解約した、または今後解約する店舗がある」と回答したリテーラーは21.8%に上る。募集物件の出店検討または申し込みを「とりやめた、または今後とりやめる店舗がある」の回答も21.8%となった。
新型コロナ収束後の出店戦略では「向こう1年程度は出店を抑制」という回答が34.2%と最も多い。出店抑制の一方で、29.1%が「今後も積極的に出店」すると回答。好立地での空室発生、リーズナブルな賃料設定など、現状を好機と捉えていることもうかがえた(グラフ参照)。
リアル店舗の再定義
同社は「テナントの中には、アフターコロナの将来を見据えて、コロナ前の賃料水準でも出店に対する意欲のある先も一部存在する。大きな流れとして、eコマースでの売り上げを伸ばすことを目指す企業が多い中で、リアル店舗に求めるものが、『売り上げ』から『体験や顧客とのタッチポイント』へとシフトしている。リテーラーにはリアル店舗の再定義やオムニチャネル戦略の策定が急ピッチで求められる」と分析する。