主要住宅各社の8月度受注が出そろった(表参照)。戸建て住宅(注文)は前年超えを果たせなくても、19年8月との比較ではプラスとなり、〝コロナショック〟からの立ち直りが続く。一方で懸念材料は土地不足だ。今後、注文・分譲住宅用の土地確保が改めて課題となる。
8月度の受注の特徴的な点を見ると、積水ハウスの「戸建住宅」は前年同月(単月)比19%増。在宅勤務、ステイホームの状態という外部要因を踏まえ、引き続き住宅へのニーズは高いと認識する。大空間リビングや換気、空気清浄、プランニングが一体となった次世代室内環境システムの提案が奏功している。「賃貸住宅(RC造除く)」はホテルが苦戦するものの、高付加価値、3、4階建ての受注が好調で同23%増となった。
大和ハウス工業の「戸建住宅」は同16%増。前年8月度の受注状況があまりよくなく、前年超えのハードルは低かった。ただ、1棟当たりの受注単価、棟数は前年超えを果たしている。「分譲住宅」、宅地用の「土地」がマイナスとなった背景には、マーケットに出回る用地が少なくなり、仕入れの課題が影響しているという。
住友林業の「戸建注文住宅」は前年同月の水準が高く、同11%減。コロナ以前の19年同月(単月)比では15%増となる。ZEH比率が過去最高を更新し、1棟当たりの受注単価は高水準で推移した。展示場来場者数は前年同月を下回ったが、ウェブ経由の資料請求数は前年同月を上回っている。
旭化成ホームズは「請負住宅」は戸建て、集合住宅いずれもプラス。過去3番目に高い受注金額となった。受注面積・単価が比較的大きな物件が受注できているという。
ミサワホームの「注文住宅」は1棟当たり受注単価は前年同月比でプラスだが、前年8月の受注状況がよく、同12%減となった。19年同月(単月)比では1%増となる。「賃貸住宅」は大収納空間や2カ所のワーキングスペースを提案する賃貸新商品(1月発売)が好調で受注金額を引き上げている。
三井ホームの「専用住宅(戸建て)」は同1%増。7月、8月の来場者減少が響き、伸び悩んだ。マーケットに出回る土地が減少していると認識し、宅地用の土地を持たない顧客への対応に課題を残したという。
パナソニックホームズの「戸建住宅」は同1%減。19年8月(単月)比ではプラスとなる。内訳では低層(1、2階建て)が同6%増となり、「戸建住宅」の受注を支えた。
棟数ベースで公表している積水化学工業の「住宅受注」は同5%増。戸建てと集合住宅のいずれもプラスとなっている。