企業や世代の枠を超えて不動産業界の関係者が集う任意組織である「令和マスターズさろん」は10月21日に第2回会合を開き、「最新テクノロジーと不動産」の今後について考え、ウェブで配信した。
同組織の代表理事で、東急不動産ホールディングス(東京都渋谷区)顧問の北川登士彦氏は、「不動産DXの動向から学びを得ながら、社内外のネットワークのつながりを拡大させる。横の連携で新たなビジネスを創出したい」と開会のあいさつをした。
講演で、NTTデータ経営研究所(東京都千代田区)シニアマネージャーの川戸温志氏は、AI(人工知能)の活用で、これまでとはまったく違うスピード感で今後の10年が進むとし、「耐震性を担保しつつ、1人から2人用ならば3D(3次元)プリンターで24時間で家が建つ時代。空飛ぶタクシーは実用化が目前で、建物屋上に離発着ポートを設ければ新たなビジネスに発展する」と紹介。不動産業務では、「仲介取引で従来の〝最も高値で〟から〝正確で早く〟を重視する観点に移行する。データの活用が一層重要になっていく。米国の不動産仲介会社eXp Realtyでは、オフィスを持たずに、3万5000人の社員がバーチャル(仮想)空間に出社する。働き方の多様化でオフィスと最新テクノロジーが融合していく」と展望した。
不動産再生事業を手掛けるリアルゲイト(東京都渋谷区)社長の岩本裕氏は、シェアオフィス市場の動向で、「大規模に単純な展開ではなく、今後は柔軟な形態の〝ワークプレイス〟の分散配置や、住まいや店舗とハイブリッド化させた方法が稼働率を高める。価格の設定や、空間と契約の関係の自由度を高める。柔軟な企画や運営体制、多様化する需要に即応できることが求められていく」と解説した。
また、各社が提供中の最新技術サービスとして、estie(東京都文京区)CEOの平井瑛氏は、オフィスビル情報プラットフォーム『estie pro』を、iYell(東京都渋谷区)社長室室長住宅DX管掌の石川仁健氏は、住宅事業者向けの住宅ローンアプリ『いえーる ダンドリ』を紹介した。
同組織の理事で、コスモスイニシア(東京都港区)社長の高智亮大朗氏は、「リアルな場面と合わせた最新テクノロジーから〝熱量と感動〟を共有できる新たなビジネスが生まれるだろう」と結んだ。