住まい・暮らし・文化

増収予想も、資材高騰を懸念 大手住宅会社 22年3月期通期見通し 戸建て用地の確保が課題

 3月期(4月~翌3月)で業績を発表している大手住宅会社4社(大和ハウス工業、旭化成ホームズ、積水化学工業住宅カンパニー、飯田グループホールディングス)は22年3月期通期でいずれも増収を見込む(表参照)。

 注目施策の一つは集合住宅だ。大和ハウス工業の芳井敬一社長は「(ZEH仕様)のZEH-Mは前期は非常に数が少なかった。これから契約していくものはすべてZEH-M対応としたい」と方針を示す。旭化成ホームズはペット共生型やZEH仕様など付加価値型が好調。上期の受注に占める比率は40%弱で、今後も付加価値型の提案に注力していく。

 懸念材料は資材価格の高騰だ。大和ハウス工業の芳井社長は「木材価格は少し下がり落ち着いている。厳しいのは鋼材。今後の受注に関しては価格に転嫁せざるを得ない」と苦渋の決断。積水化学住宅Cの神吉利幸プレジデントは「下期は鋼材を中心に30億円の高騰リスクを見込んでいる。380棟の売り上げ増加をベースに対応したいが、鋼材市況は落ち着いておらず注視したい」と説明した。一方、飯田GHDは国産合板の調達課題に集成材の材料(ラミナ)での調達、ロシアからの調達量増加などで対応した。

 住宅市場の活況を受け、用地の確保も課題だ。積水化学住宅Cの神吉プレジデントは「戸建て用地の取得は今年度に入り厳しくなった。販売可能在庫は約3000区画あり、その倍近い在庫は確保している。ただ、競合が激しくなり、仕入れ体制、情報ルートを開拓しながら在庫確保を進めている」と説明した。旭化成ホームズは自社の不動産情報ネットワークを活用すると共に、戸建てオーナーの余剰敷地を買い取り、戸建て用地として販売する事業を拡大させる考えだ。