21年のグッドデザイン賞において、シマダアセットパートナーズ㈱(東京都渋谷区)の手掛けたオフィス「ROPPONGI TERRACE(六本木テラス)」が、「これからの時代の働き・生きる場を指し示す建築」として高く評価され受賞した。その特徴などを同社の須藤潤氏と佐藤修司氏に聞いた。
「『六本木テラス』は、東京都港区の六本木西公園に面したオフィスビル。最初の緊急事態宣言の頃に用地を取得したため、ウィズ/ポストコロナの社会を見据え、『新しいオフィスビルのあり方』という視点から建物計画を始めた。特にテレワークの拡大を受け、働く行為と暮らす行為が重複する建物を計画し、『仕事×生活』という2つの用途の組み合わせを目指した。また六本木駅徒歩4分という都心立地ながら、隣接する公園の開放感を最大限に取り入れ、テラスのような建築とした。敷地環境を生かし、光、風、視線をコントロールした独特の遠近感が心地よい空間となっている」
「当社は14年からグッドデザイン賞に応募し、8年連続、累計21作品を受賞。今回の物件は初めての100選に選出された。今年の応募数は昨年より1000件も増え、社会的にもデザインの必要性を強く感じている」
社会問題の解決目指し
「『デザインとは何か?』定期的に行う社内の建築座談会の中で『社会問題を解決するためのもの』と位置付けた。それ以来、毎年同賞に応募し、現代の社会問題の解決へ向け、デザインの考察と併せて組織のデザイン力向上に努めてきた。今回の『六本木テラス』は、『仕事×生活』という2つの用途を組み合わせた建物。複数の用途を組み合わせることで、新しい空間や価値観が生まれてくることがとても新鮮で、今後のデザインを考えていく上での糸口と捉えている」
「当社は『他社にない魅力的な価値を創造し続ける』という企業ミッションの下、20年に60周年を迎えた。戸建て事業から共同住宅、ホテルや介護施設など、住まいに関わる事業を少しずつ拡大してきたが、目指す部分は同じ。その土地、建物に耳を澄ませ、よい時間を過ごしてほしいという思いから、その場所に求められる空間づくりに取り組んでいる」
「コロナ禍により生活の多様化や価値観の再考が進む中、我々の使命は情報や流行に踊らされることなく本質を見抜き、独創的で生活を豊かにする空間を提供すること。そのためには単なるハード面のデザインだけでなく、運営や取り組みなどソフト面のデザインも不可欠。個別事業の拡大はもとより、それらを組み合わせることで社会から必要とされる、他にはないデザインを提供し続けたい