NTTコミュニケーションズ(東京都千代田区)は、都市に点在する様々なデータを融合する同社のデータ利活用基盤『Smart Data Platform for City』(以下、NTT基盤)を活用し、現実空間のデータを取り込み仮想空間で再現する「デジタルツイン技術」の確立に向け、パートナー企業との連携を始めている。知見とノウハウを蓄積し、建物設備管理業務との統合や、スマートシティの具現化を目指す取り組みが加速し始めた。
同社や日建設計、竹中工務店などで構成する「東京大学グリーンICTプロジェクト」と共に、21年3月から同年11月に実証実験を行った。ビルなどの建物空間を制御するデジタルツインの構築技術の確立とアプリケーション構築技術の標準化を検証。リアル空間のロボットやビル設備システムなどをデジタル空間からリアルタイムに制御ができる基礎的アプリケーションを21年12月8日に開発した。
22年度も同様な実験を行う。複数の空間をまたぐ制御やデータの利活用を検証し、広域都市空間でのデジタルツインの活用に関しても検討する。誰でも安心して、建物空間のデータを活用したアプリケーションを構築できるようにする。
建物設備管理業務
日本ユニシスと共に、建物データを3D(3次元)モデルで構築管理する「BIM」(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のデータを用いた建物設備管理業務に活用できる「建物統合管理ソリューション」の提供に向けた取り組みを21年12月から始めている。日本ユニシスのファシリティマネジメントソリューション『ARCHIBUS』(アーキバス)と「NTT基盤」を連携させる。3Dデータを活用したデジタルツインで〝ビジュアル化〟した建物設備管理の実現を目指している(イメージ図)。
ここでは、センサーで検知した設備の異常などを、3Dの画像で簡単に表示できるようにする。連携データを自動で『ARCHIBUS』の保全業務プロセスにつなげる。設備管理業務の効率化や生産性向上の支援で活用する。
リアルタイム可視化
ダッソー・システムズ(フランス)の日本法人(東京都品川区)と、スマートシティの分野で21年12月16日に業務提携した。ダッソー・システムズの3D統合技術を生かした『3D EXPERIENCEプラットフォーム』と、「NTT基盤」を連携させる取り組み。都市のデータをリアルタイムに可視化するよう、様々な場面をシミュレーションして実証実験を行う。