YKKグループは3月2日、21年度を振り返り、22年度の経営方針を説明する会見をオンラインで開いた。YKKAPの21年度売上高は過去最高の4469億円の見込み。22年度下期には住宅性能表示制度で新設される断熱性能等級への対応商品も投入する。一方、第6次中期経営計画(21年度~24年度)では24年度売上高を5440億円、営業利益を386億円に設定した。
21年度業績は売上高が4469億円(前年比11%増、計画比6%増)、営業利益は189億円(前年比10%減、計画比12%減)、売上高営業利益率4.2%で着地する見通しだ。国内では窓の高断熱化率を推進し、住宅、エクステリア、ビルの各事業で売上高を伸ばした。海外では北米、台湾、インドネシアの市場回復により販売が増加した。増収となったが、原材料と資材の高騰により203億円の減益要因が発生。この203億円は前年度の営業利益209億円に相当する水準だ。
22年度の国内では省エネ性能表示の上位等級新設を機に更なる樹脂窓の拡販を進める。機能、デザインによる商品の高付加価値化も図る。22年度下期には窓枠がアルミ樹脂複合の大開口スライディング窓を投入する。堀秀充社長は「この商品で大開口、断熱性の両方に対応ができる。設定が予定されている断熱等性能等級6に対する大開口窓の一つの答え」と説明した。
昨年3月に発表された第6次中期経営計画(21年度~24年度)では、コロナ下の不確実性の高い経営環境を鑑み、21年度単年の計画立案だった。今回の会見では、24年度までの事業計画を発表した。
22年度の計画は(1)売上高4914億円、(2)営業利益223億円、(3)売上高営業利益率4.6%――に設定。原材料・資材の高騰による146億円の減益要因を想定するが、価格改定による168億円の増益要因を見込む。中計最終年度となる24年度の計画は(1)売上高5440億円、(2)営業利益386億円、(3)売上高営業利益率7.1%――となる。国内ではエクステリア関係、リフォーム用窓の伸長を計画する。
ウクライナ情勢への懸念
一方、価格に対する懸念材料の一つにウクライナ情勢がある。ロシアはアルミニウム供給国であり、国際的な価格が高騰している。4月からエクステリア、6月から窓で価格の値上げを図るが、堀社長は「価格の値上げはウクライナ等の問題が発生する前のアルミ価格の水準で計算している。今後、更にアルミや樹脂の価格が上がることになれば、次の値上げを考えざるをえない」と説明した。