国際航業(東京都新宿区)は、法政大学デザイン工学部建築学科の川久保俊教授の研究室と『民間企業を通じたSDGs(持続可能な開発目標)意識醸成の調査研究』に関する共同研究契約を締結し、研究を推進している。研究成果を基に、同社データベース『PAREAシリーズ』の一つとして今夏をめどに、不動産企業や金融機関、メーカー、流通小売業などにサービスの提供を始める。SDGsの取り組みの進ちょくをインディケーター(指標)などで〝可視化〟して情報を共有しやすくし、各主体の取り組みを後押しする。
川久保研究室は、内閣府地方創生推進事務局が定める指標(ローカルSDGs指標)に準拠したスコアを設定し、同研究室運営のウェブサイト『ローカルSDGsプラットフォーム』内で、全国の自治体の取り組みやその達成度を相対スコアにして可視化に取り組んでいる。国際航業は、空間情報技術を強みとして、同プラットフォームのデータベース上のスコアリングデータの表現方法や活用方法に関して、共同開発に取り組んでいる。このデータベースと同社サービスを連携させ、民間企業に提供する。
同社は、データベース『PAREAシリーズ』の一つとして、「バージョン1」を6月、内閣府との協議を経て「バージョン2」を7月下旬、分かりやすく図柄化した「地図データベースサービス」を協力企業との連携を含めて7月にもリリースしたい考え。
SDGsを共通言語に、取り組みや進ちょくを可視化することで、どのように取り組めばよいのかが分からずに、二の足を踏みがちな民間企業の意識を醸成する。情報の共有によってニーズを見つめ直して〝気づき〟を得られるようにする。企業間の連携を促して新たな関連サービスを創出してもらうなど、社会全体の活動の加速に貢献する。
SDGsのメリット
4月27日に開催したウェブセミナーで、川久保教授は、SDGsは、「法の強制ではない。あくまでも自由意志で取り組む。アプローチ方法は多様で、得意分野から始める。1つの目標達成がさまざまに波及し、横展開できる活動のメリットは大きい。変化が激しく複雑化して不確実性高い環境で、指標化した各主体の取り組みを参考に深堀・理解・実践すれば、社会課題を解決するビジネスの飛躍やチャンスを得て〝選ばれる企業〟になれる」と話した。