6月15日までの会期とされる第208回通常国会も終盤となり、法案審議も佳境に入っている。国土交通省関連では、これまでに所有者不明土地法や宅地造成等規制法の改正案が可決、成立した。国会に追加提出された「建築物省エネ法」の改正案は衆議院本会議で可決され、参議院へ審議の場を移した。
住宅・不動産業界への影響が想定されるのが、4月27日に成立した「改正所有者不明土地法」だ。今後増加が予測される所有者不明土地(不明地)の利用円滑化と管理適正化を図るためのもので、地域福利増進事業の対象拡充など、地域の関係者が実施する不明地対策を支える仕組みを盛り込んだ。
国交省は5月10日、改正法成立を契機に、全国10地区の「所有者不明土地連携協議会」を改組することを公表。不明地対策に加え、地方公共団体における土地の利活用や取得に関する課題解決の支援を強化していく考えだ。
宅地造成等規制法改正案は5月20日、参議院本会議において可決、成立した。危険な盛り土等を全国一律の基準で包括的に規制するためのもので、法律名・目的も含めて抜本的に見直す。無許可造成や是正命令違反をした法人には最高3億円の罰金を科すなど罰則も強化。国交省と農林水産省による共管法とし、両省が緊密に連携して盛り土等に伴う災害を防止する。23年夏までには施行される。
建築物省エネ法を含む「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」は4月22日に閣議決定の上、国会に提出された。当初は今国会提出が見送られる公算もあったが、原油価格等の高騰対策の緊急性などが後押し。2050年カーボンニュートラルの実現へ住宅の省エネ化促進など経済構造の転換を目指す。
改正案では、建築物分野での省エネ対策の抜本的強化や、木材利用の更なる促進に向けた規制の合理化を図る。現行は中大規模の新築非住宅とされる省エネ基準の適合範囲を、すべての新築建築物に拡大する。更に、大手事業者によるトップランナー制度の拡充、誘導基準の強化等によりZEH・ZEB水準へ誘導する。販売・賃貸時における省エネ性能表示の推進などを盛り込む。
5月25日に衆議院本会議で可決、参議院へ審議の場が移された。なお、国民の十分な理解や市場の混乱を防ぐための環境整備など、13項目の付帯決議がなされた。