BtoB決済サービスなどを提供するペイトナー(東京都港区)は、19年9月の提供開始以来、同社のオンライン型サービス『ペイトナー ファクタリング』を活用する〝一人親方〟を中心とした個人事業主などの提供先を伸長させている。同サービスの仕組み〝ファクタリング〟は、利用者が取引先への請求書をすぐに現金化できる。資金繰りを改善し、次の受注などのステップを踏み出しやすくするとして、コロナ禍も影響してニーズが高まっている。
建設技能者のうち〝一人親方〟は、個人事業主として資材や下請けなどの取引先、税金の支払いが先行する。仕事を完了後に、自らの報酬を得るのは数カ月先になる例が少なくない。こうした背景に資金繰りの1つの手段として、「ファクタリング」を活用する場面が増えている。これは、借入金の「金銭消費貸借契約」と違い、「売掛金」である請求書を売却する「債権譲渡契約」となる。
同社サービスではその入金前の「請求書」を買い取る。蓄積したビッグデータを用いて即時に与信審査し、最短10分で手続きを完結し、請求書分の前払金を振り込む。利用者は手数料のほかには、登記簿など手間の掛かる書類は不要。オンラインで必要な情報を登録し、書類をアップロードするだけで済む。取引先にファクタリングの利用を知られる心配もない。利用者の請求書に基づくため〝借りない〟形で、すぐに現金化できる(サービスの仕組図)。
活用が広がる背景には、資金力が比較的ぜい弱な個人事業主が〝ウッドショック〟を含めた資材高騰の影響を受けて、また、工期の遅延などで売上金の回収が遅れている状況がある。取引先への報酬や資材費などを先行して支払うために、資金繰りの状況で厳しさが増している。手元資金に乏しければ、新規案件の受注の機会を逃す機会損失となる。悪循環になりかねない。
新たな選択肢に
同社代表取締役社長の阪井優氏は、「創業前の前職でクレジットカード決済サービスを提供し、個人事業主の資金繰りの厳しさや手続きの手間を知った。負担を軽減できるよう、迅速な審査と簡便な手続きを強みに、当社サービスを開発した。コロナ禍などで資金ニーズが一層高まり、当社サービスが皆さんの〝新しい選択肢〟となるように、新サービスや機能の更新でニーズに応えていく」と話す。