国土交通省は8月25日の予算概算要求と併せ、23年度の税制改正要望も公表した。概算要求に符号する形で、「豊かな暮らしの実現」「経済好循環の加速・拡大」「安全・安心」を要望の3本柱に据えた。住宅・不動産分野では、高経年マンションの管理適正化促進を目的とした特例措置の創設などを求める。
23年度の国交省における税制改正要望では、各種延長要望に加え、特例措置の拡充が盛り込まれた。1つ目の柱である「豊かな暮らしの実現と地域の活性化」では、固定資産税に係る特例措置の創設を要望する。具体的には「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置」。管理計画認定マンションその他の一定の要件を満たすマンションについて、必要な修繕積立金が確保され、長寿命化に寄与する大規模修繕工事が実施された場合、建物部分について工事完了の翌年度分の固定資産税額を3分の1減額する。今年4月に施行された改正マンション管理適正化法や「新しい資本主義実行計画フォローアップ」(22年6月7日閣議決定)などを踏まえた新規要望で、特例期間は23年4月から25年3月末までの2年間。
また、「空き家の発生を抑制するための特例措置(3000万円控除)」については適用期間を4年間(24年1月~27年12月末)延長すると共に、適用対象の拡充を要望する。現行制度では、譲渡前に耐震改修工事または除却工事を実施した場合を適用対象としている。これを譲渡後の一定期間内に対応する場合も適用対象とすることを求め、空き家の発生抑制を促進する狙いだ。低未利用地活用促進へ譲渡価額の引き上げも
2つ目の柱の「経済社会活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大」では、土地関連の要望が並んだ。この中では「低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置(100万円控除)」が拡充・延長要望となる。低額な不動産の取引に伴う負担感等から低未利用地(空き地)として放置され、更なる所有者不明土地が発生することを予防するためのもの。個人が保有する低額な土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特例措置を3年間延長すると共に、現行で500万円以下となっている譲渡価額の要件について上限を800万円まで引き上げることを要望する。
また、登録免許税や不動産取得税に関しては、「リートおよび特定目的会社が不動産を取得する場合」や「不動産特定共同事業で取得される不動産」についてそれぞれ現行の特例措置を2年間延長することを求める。特に、後者については、不動産取得税の軽減対象に保育所を追加することとし、不動産特定共同事業を活用した民間不動産投資を一層推進していきたい考えだ。
このほか、同省では既存住宅流通・リフォーム市場活性化の観点から、「買取再販で扱われる住宅の取得等に係る特例措置の延長(2年間)」を要望。また、3つ目の柱である「安全・安心なグリーン社会の実現」の中で、「耐震改修が行われた耐震診断義務付け対象建築物に係る税額の減額措置の延長」などを盛り込んだ。