先日、ある有名な漫画家が描いたイラストに関して、ファッション誌からの〝トレパク〟がSNSなどで問題視された。写真など他人の作品を勝手になぞり(トレース)、独自作品のように盗作(パクリ)する行為で、イラストを発注した各社が対応に追われた。
▼美術や音楽などには、作者にリスペクト(尊敬・敬意)したオマージュ作品がある。ただ、その度が過ぎたり、本人の了解を得ていないと、問題が大きくなる。仮に過去の素晴らしい作品がオリジナルであっても、疑いの目で見られてしまう。
▼最近は誰もが最先端の生成AI(人工知能)技術を仕事やプライベートで使えるようになった。ある事故映像をSNSで視聴しているとそれはフェイク(偽物)だった。本物と見紛う完成度で、だまされてしまった。
▼生成AIは情報データを学び、新しく画像や映像、音楽を瞬時に生成する。それらは、過去の人間による情報を基にしている。つまり生成AIがつくったコンテンツは、ある意味で偽物とも言える。今後は生成AIが創出した偽物のコンテンツさえも生成AIが学び続け、更に偽物を拡大させていく恐れがある。
▼真実は、目に見えているものとは限らない。本物を見極める目利き力が問われることになる。物件の選定など、モノを見極める能力に長けている不動産会社の担当者ならば、偽物を見抜く力があるはず。決して〝地面師〟などにはだまされないことと思う。




