Pick Up!
- 本紙調査 2024年度通期売買仲介実績
- 野村不動産ソリュ 代表取締役社長日比野勇志氏に聞く
- 長谷工コーポ、ウッドフレンズTOB成立
1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事をピックアップします。この週は、本紙が毎年実施している売買仲介実績アンケートを集計した号になりますが、1面記事の「本紙調査 2024年度通期売買仲介実績 手数料収入は二桁増4割 高額帯で稼ぐ姿勢が鮮明(2025/5/27号)」がトップとなりました。大手を中心に各社とも手数料収入を伸ばし、二桁増は全体の4割を占めました。東京都心に代表されるようにマンション価格などが高騰していることが主な要因となっています。
ただ、そうした中で各社とも今期業績について引き続き好調を維持すると見立てている一方で、米国の通商政策で何が飛び出すかわからない予見性の低さに気を引き締めています。日銀が利上げ政策を維持していることもあり、特に今後の分譲マンションの売れ行きも気がかりと言えます。向こう1年間の見通しとして、法人部門は、企業が資本効率を考えた経営に大きくカジを切った流れが続き、遊休不動産や本業との関係がうすい資産を手放し、バランスシートを軽くする取引が続きそうです。分譲市場でも堅調に推移するとみられますが、東京都心などの大都市がけん引し、郊外エリアで苦戦を強いられる公算が大きいと言えるでしょう。
次に挙げるのが4位にランクインした「野村不動産ソリューションズ 代表取締役社長 日比野勇志氏に聞く M&A案件の取引急増 滑り出し上々、今期業績も好感触(2025/5/27号)」です。今年4月に社長に就任しました。同社はリテール部門だけでなくホール部門も好調でした。日比野社長は直近の4年間、法人部門でディールを担当していました。東京近郊の大学キャンパスをすべてインターナショナルスクールに売却して、その校舎を含めてそのまま活用してもらっていることはSDGsやESGの観点からの重要性を語りました。昨年はM&A案件が多かったことも印象的な1年だったと振り返りました。買収した企業が被買収企業のアセットを売却するなどです。
今後の事業戦略の一つとしてAI(人工知能)の活用を見据えています。同社が運用する「ノムコム」のAIアドバイザーを顧客とのコミュニケーションで活用してオンラインの中でどこまで完結できるものがあるかを追求していく意気込みを見せます。例えば、音声で物件検索をしたり、公取チェックにAIをかませたりするなど……。企業成長に向けて可能性を深掘りし、大手3社に並ぶ存在を目指しています。趣味はゴルフとランニング、とのことです。
最後に注目したいのが、2位の「長谷工コーポレーション、戸建て住宅のウッドフレンズTOB成立(2025/5/29配信)」になります。東海圏で戸建て住宅の企画設計、施工販売などを手掛けるウッドフレンズ(名古屋市中区)の普通株式に対して実施したTOB(公開買い付け)が成立したものです。長谷工は完全子会社化を目指しており、ウッドフレンズは上場廃止となる予定です。
少子高齢社会で人口減少が加速する中で、分譲住宅マーケットはパイの取り合いが予想されています。そんな状況を見越して、長谷工コーポとしては、細田工務店を完全子会社化後に長谷工ホームを21年5月に新設するなどで商品のラインアップを図ってきました。今回のTOBで東海圏での事業拡大を狙っていくのも商品ラインアップ拡充戦略の一つでしょう。