日本は他の先進国に例を見ない少子高齢社会を迎えつつある。既に人口は08~10年をピークに減少に転じており、事実11年には26万人の減少となった。
更に65歳以上の高齢化率も急速であり、70年=7.1%(高齢化社会)、95年=14.5%(同)、07年=21.5%(超高齢社会)、14年予測=25%(内75歳以上の後期高齢者が12%以上)」となっている。将来的には20年=29.1%、35年=33.4%と、実に人口の3分の1が高齢者の時代になる。
深刻な「25年問題」
現在、「25年問題」が注目されている。それは団塊世代の大半が75歳以上となる年であり、その人数は団塊世代のみで700万人、総数予測は2000万人に達する(グラフ参照)。
現在でも総医療費の30%が後期高齢者医療費であり、このままの医療制度なら25年には43%程度が後期高齢者医療費になる。社会保障費の増大、中でも医療費の急速な増加は消費税を上げてもとても解消できない状況にある。
健康寿命を延ばす
現在の日本人の平均寿命と健康寿命は以下の通りだ。
男=平均寿命79.55歳、健康寿命70.42歳で、その差9.13年。
女=平均寿命86.30歳、健康寿命73.62歳で、その差12.68歳。
つまり医療費の削減に最も効果的なのは病院改革や健康保険改革より、いかに健康寿命を延伸するかがキーワードであるかが分かる。
1年間の健康寿命延伸で総医療費が3%以上削減可能と推定される。
そのため、体が元気な前期高齢者のうちに、大いに健康増進・予防医学を推進すべきである。更にはアクティブに生きることにより精神的な若さを維持し、地域社会貢献による生きがいづくりなどが肝要だ。
そして健康寿命を3年以上延伸させ、後期高齢者の定義を78歳以上と出来れば日本は素晴らしい社会を構築できるだろう。
「青春とは心の若さ」(マッカーサー)である。そこで、ワープステイの考え方には大いに希望があり、日本再興の役に立つ考え方であると確信している。
コンシェルジュ必要
その実行のためには、ワープステイ計画者の相談に応ずるコーディネーターやコンシェルジュが送り出す側の都会にも、受け入れ側の地方都市にも必要となる。
そのためには地元に深く根ざしている地域密着型不動産会社の協力が望まれる。
都会で貸し出す住宅の改修や、地方の施設作りに協力してもらうことで、地元の活性化や事業化にも役立つと思われる。筆者の試算では投資効果は1人当たり、400万円程度になる。
また、ワープステイ実現のためには辻哲夫・東京大学教授、細井裕司・奈良県立医科大学学長、後藤春彦・早稲田大学建築学科教授らが提唱しているMBT「メデイカル・ベースドタウン構想」の考え方にもヒントがある。
ワープステイに確固たる信頼性を付加するための手段として、医療・福祉のバックアップが必須条件であろう。 (ワープステイ推進協議会・不殿武士)