東京都は4月15日、「新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策」「経済活動と都民生活を支えるセーフティネットの強化」「社会構造の変革を促し、直面する危機を乗り越える取り組み」の3つを柱とする緊急対策 (第4弾)を取りまとめた。緊急対策の財政規模は過去最大の総額約8000億円を見込んでおり、6月までに着手すべき事項を4月臨時議会に補正予算案で約3574億円を計上する予定だ。
感染拡大防止協力金
「新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策」(補正予算案は1455億円)では、「感染拡大防止協力金」を創設する。都の休業要請や協力依頼に基づき、緊急事態措置期間の5月6日まで休業や営業時間の短縮など全面的に協力する都内の中小企業および個人事業主を対象に、感染拡大防止協力金として50 万円(2店舗以上有する事業者は100万円)を支給する。4月22日から申請を受け付け、同措置期間終了後から順次支給する予定。
住宅・不動産関連では、住宅展示場が商業施設に分類され、床面積が1000m2超は休業要請、1000m2未満は施設使用停止の協力依頼、100m2未満は営業を継続するにあっては適切な感染防止対策の徹底を依頼する。
休業要請の対象外施設は、屋外のゴルフ練習場やバッティング練習場が該当し、陸上競技場や野球場、テニス場も休業対象外だが、屋外の観客席部分は使用停止の要請対象となる。休業要請の対象施設一覧は、東京都防災ホームページに公表している。
また、医療提供体制の強化では、無症状・軽症の患者を受け入れるホテル(1棟、200室以上が望ましい)として、東横INN東京駅新大橋前、東京虎ノ門東急REIホテル、イーストタワー(品川プリンスホテル)の3つのホテルの借り上げが決定している。このほか、医療従事者の宿泊先確保の支援も行う。
相談窓口として、緊急事態措置等・感染拡大防止協力金相談センター(電話は03(5388)0567)に加えて、東京都外国人新型コロナ生活相談センターも新設する。
無利子の制度融資、都税の徴収猶予制度
「経済活動と都民生活を支えるセーフティネットの強化」(同2007億円)では、中小企業への実質無利子での制度融資の拡充や事業継続支援、住居喪失者への一時住居提供を盛り込んだ。また、税制面では都税の徴収猶予制度の拡充や中小事業者向け固定資産税等の軽減、水道料金・下水道料金の支払い猶予の制度も設ける。
都税の徴収猶予制度の拡充では、1カ月以上の任意の期間に前年同期比20%以上の減収となった個人および事業者について、無担保かつ延滞金なしで1年間都税の徴収を猶予する特例を設ける。中小事業者が所有する事業用資産に係る固定資産税等の軽減措置 ・厳しい経営環境にある中小事業者等に対し、21年度課税の1年分に限り、償却資産および事業用家屋に係る固定資産税、都市計画税の負担について、2分の1またはゼロとする軽減措置も創設する。
小池百合子都知事は14日の会見で都税の徴収猶予制度について「担保不要で延滞金もない。手続きは、都税事務所で売り上げの減少を証明する書類の提出が必要だが、書類が準備できない場合は、口頭でも申請を受け付けるなど柔軟に対応する」と説明した。
このほか、都営住宅・公社住宅の使用料等の支払期限の延長や、土地区画整理事業等における移転資金貸付金の返済猶予、道路占用料、港湾占用料等の納付猶予も設ける。
テレワーク助成金
「社会構造の変革を促し、直面する危機を乗り越える取り組み」(同117億円)では、申し込みが多いテレワーク導入支援の「事業継続緊急対策(テレワーク助成金)」の増額などを挙げた。
3月から開始している事業継続緊急対策(テレワーク助成金)では、常時雇用する労働者が2人以上999人以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等の6月30日までに完了する取り組みを対象に実施する。締め切りは5月12日。
助成限度額は250万円、助成率は10分の10。助成対象経費は、パソコンやルーターなどの購入費やレンタル費、機器の設置・設定費、コミュニケーションツール使用料など。問い合わせ先は、東京しごと財団雇用環境整備課。