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銀行の仲介業参入、原案から削除に 全宅連 〝参入阻止へ最大限注視〟

 全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連、坂本久会長)は、自民党の経済成長戦略本部および金融調査会で検討されていた「銀行の保有不動産に係わる賃貸業の自由化」「銀行の不動産仲介業の解禁(事業再生や事業承継に関連した案件)」について、原案から削除されることになったと5月27日、発表した。

 全宅連では、これまでも銀行系団体から毎年要望が出されてきた状況を踏まえ、銀行の仲介業参入に断固反対の姿勢を示してきた。

 直近では、5月21日に自民党宅地建物等対策議員連盟の古賀誠顧問および同議連幹部の国会議員に対し要望した。坂本会長が検討の趣旨を古賀顧問に説明し、古賀顧問は「私自身も宅建士の資格を持っているので趣旨に賛同し、関係の担当議員に働きかけを行いたい」と述べたという。

 25日には、経済成長戦略本部の林芳正座長、木原誠二事務局長、小倉將信主査らと全宅連の坂本会長、佐々木正勝政策推進委員長、三輪昭彦理事が同件について意見交換を行った。坂本会長は「現在コロナ対策として家賃補助政策がなされる中、これ以上市場に賃貸物件が出れば中小オーナーは経営がより厳しくなる」と述べ、佐々木委員長は「米国では銀行と不動産のファイヤーウオールが設けられている。銀行という大手が仲介や賃貸業に参入すれば市場に影響を与え、中小の不動産業従事者約50万人の雇用問題にも発展する。事業再生や事業承継に限定的といっても将来すべてオープンになる懸念がある」と意見を述べた。

 全宅連では、これらの要望等の結果、原案から削除されることになったとし、坂本会長は「コロナ禍により、景気低迷や失業問題が懸念される。コロナ後においても景気のV字回復には時間がかかると予想され、本会では我々の経済活動、雇用維持の観点からも断固反対の姿勢を表明してきた。引き続き、最大限注視していく」とコメントしている。