21年度の「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」に選定された墨田区。SDGsモデル事業の概要は、スタートアップ企業や社会課題の解決を目指す企業と区内の事業者との連携を進め、プロトタイプ(試作品)を社会実装していくもの。主軸は(1)八広・東墨田、(2)文花・立花、(3)錦糸町――の3つのエリアに位置する。現在、経済面で重要視するのが八広・東墨田エリアでのプロトタイプ開発・製造・実証実験だ。
同エリアでは、スタートアップ支援に実績がある浜野製作所(墨田区八広)と共に拠点として、区の施設である東墨田会館を運営する。墨田区の産業振興課産業振興担当の吉川栄一主査は「浜野製作所さんにはものづくりに関する技術的な支援に加え、資金調達など企業が成長していく過程をフォローできるノウハウがある。そのノウハウを活用したい」と説明する。浜野製作所と東墨田会館の距離は近く、拠点としては格好の場所。同会館でのスタートアップ支援は21年度後半から開始する構えだ。
墨田区の成り立ちは町工場が集積し、働く人たちが住み、街の機能が充実していった。現在、人口自体は増えているが、働く場所の拡大・確保に危機感を持つ。吉川主査はSDGsモデル事業でも「事業者自らが〝稼げる〟モデルとして地域の課題解決につながるソリューションを生み出してほしい」と説明した。