マンション・開発・経営

2021グッドデザイン賞 グッドデザインで変わる住まい①  阪急阪神不動産「ジオ北千里藤白台」 街の資産価値上げるマンションデザインを

21年のグッドデザイン受賞作品が出そろった。千里ニュータウンの府営住宅建て替え事業である「ジオ北千里藤白台」(写真)はコミュニティとの接続、緑と共に暮らす、地域との調和の3点が評価され受賞。開発担当の北川洋次氏に、意識したことなどを聞いた。

 

──府営住宅の建て替え事業だが。
「千里ニュータウンは日本初のニュータウンと言われている。60年が経過した街は成熟した緑とコミュニティに恵まれる半面、インフラの老朽化や少子高齢化など課題も抱えていた。特に物件のある土地は小学校が近く、2つの公園に囲まれている。この素晴らしい環境を残しつつ、地域の課題を解消できるような物件が望まれた」

──開発のポイントは。
「大きく分けて3つ。1つ目は、街灯がなく夜は大人でも通行が危険だった北側と東側に3㍍の歩道を整備したこと。2つ目は従前、府営住宅の敷地内において生活動線として利用されていた通り抜け通路を、誰もが利用できる連絡通路として、マンション敷地内に再生したこと。そして最後は玄関口となる敷地北東に、地域に開かれた『つどいの広場』を設けたこと。地域の課題を解消すると共に、ニーズをくみ取り、更に新たなマンション住民と既存のコミュニティをつなげる場をつくることで、マンションが地域に受け入れられるよう工夫した。現地では、実際に広場で子供たちが遊んだり、子供の帰りを待つお母さんたちがベンチで話をしたりと、緩やかな地域コミュニティができてきているように感じている。ファミリータイプのマンションが建ったことで、若い世代の流入が進み、少子高齢化の歯止めにも資することができた。それらをトータルして、グッドデザインだと評価してもらえたと考えている」

──緑化について。
「成熟した緑豊かな景観を継承するため、隣接する公園や周辺の緑と調和するよう植栽計画を練った。『森の中に住む邸宅』をイメージし、緑化率は34%となっている」

──マンションづくりに対するこだわりを。
「マンションに住む人全員に満足してもらうのは当たり前。関係する周辺地域全体から『このマンションができてよかった』と言ってもらえるようなマンションづくりを目指している。鉄道系の会社として、沿線の街づくりに携わってきたノウハウがあり、今後近畿圏以外の街にも積極的に進出し、街の資産価値を高めるマンションづくりに取り組みたい」


■ジオ北千里藤白台/総戸数185戸(2棟)。阪急電鉄千里線北千里駅からA棟が徒歩7分、B棟が徒歩8分。21年2月に竣工済みで、現在先着順販売中の住戸の専有面積が70・89㎡〜。価格は4910万円〜。